第4話
「
「ママ~!! おかえりなしゃーい」
私が向かった先は、息子が通う保育園。私の姿を見つけると、今年三歳になった息子の星来が笑顔で駆け寄ってきた。
「ただいま。いい子にしてた?」
「うん。してた。きょう、ボール、ポーンしたの。せら、いちばんなの」
星来は、あまりお話が得意ではない。それでも、一生懸命に身振り手振りで伝えようとする息子が、可愛くてたまらない。
完全なる親バカだ。頭を撫でると、星来が嬉しそうに笑う。
「今日、みんなでボール投げをしたんです。そしたら、星来くんいちばん遠くまで投げて。みんなから歓声が上がってましたよ」
保育士の先生の言葉に、星来の発言の意味を理解した。
「そうだったんですか」
「はい。将来は強肩な野球選手ですかね」
「せら、やきゅーしぇんしゅーになる」
テレビでプロ野球の試合をたまたま見てから、星来の将来の夢は野球選手になった。保育園でも、そう公言しているらしい。
先生と星来の話を交わして保育園を出ると、話が思いのほか盛り上がったせいで、空はすっかり暗くなっていた。
「ママ、ごはん、なぁに?」
「きょうは星来が好きなハンバーグだよ」
「わぁーい! ハンバーグ!」
星来は私に似て食いしん坊だ。好き嫌いなくなんでも食べる。そのおかげか、身長は三歳児の平均より大きく、すでに百センチに迫る勢いだ。
好奇心旺盛で人見知りもあまりせず、誰とでもすぐ仲良くなる。そして、とにかく身体を動かすことが好き。
一緒に公園に行くと、私がぐったりすることもしばしばだ。
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