探索者Aはラブコメに向かない

南瓜の王冠

第1話 Scenario.1『境界を越えて/The Point of No Return』

…何が悪かったのだろうか?

ふと、覗いた路地裏の人面犬に反射的に十字を切った事?

或いは、十字を切ると同時に前世の記憶を思い出し、この世界が『混沌渦巻くTRPG Talkトーク&アンドoccultオカルト』だと気付いた事?

それとも、疑惑を確信に変えるために年号を確かめた事?


「はぁ…」


何度見ても、平成令和ではなく霊和と書かれた年号を見て憂鬱気にため息をついた。


『Talk&occult』の鉄則『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている』がある以上もはや逃げられないだろう。


現在5歳、【血統】【覚醒】【天才】【勇者】ets...その他チート【聖遺物アーティファクト】等々を持たない以上、今から対策しないと普通に死ぬ。


前世と違って今世はキャラロストしたらもう終わりなのだ、備えて困る事はない。


…何が悲しくて現実で年齢縛りをしなければ成らないのか、暗澹とした未来に反して空は煩わしい程燦々と輝いていた。




実の処、るるぶやデータブック、サプリメントこそ持ってたものの『Talk&occult』を遊んだ事はない、知らない相手だろうが知ってる相手だろうがTRPGに誘うのは勇気が要るのだ、俺にはなかった…


なので、基本的にはニコ動やようつべで見たリプレイ位しか知らない。

とはいえ、人間死を目前としたら案外やれるものでるるぶやデータブックの記憶をそれなりに思い出せた。


「え〜っと、たしか…」


転生しても中々独り言が直らないのは何故なのか?


まあ、いいや、『Talk&occult』に於ける基本は【探索者】と【基礎】【霊能力者】と【霊感】【超能力者】と【超然】【聖職者】と【加護】【契約者】と【約定】五大職と五大技能だったはず。

TRPGとあぷぐ時代は【探索者】は修得技能に制限の無い器用貧乏、その他は【基礎】と【固有】技能の特化型な専門家…現実になった以上、この枠組みに意味が有るかは解らないが目指すべきなのは対応力の高い【探索者】だろう。


「とりあえず、いまつかえるのは…」


確定しているのは【加護】の派生技能[祓魔]使用可能な秘跡は〈十字切り〉(雑に)強い(発動が)早い〈修得が〉簡単なコスパ最強の技能。【加護】を軸に添えてやるなら人権枠なやつだ、〈十字切り〉修得禁止縛りが存在する程度にはこの秘跡はやばい。


特定のコレと言った条件は無いが俺はカトリック教会法式で切ってる。




――――――――――――――――――――――〈探索者の手帳キャラクターシート

【加護】

―[祓魔:独学]

―〈十字切り〉

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