ここに来るまでに失礼な人に遭ってさ

STORY TELLER 月巳(〜202

第1話飛鳥の場合。

偶々、信号待ちをしていると後ろから押されて下がる。混雑している隙間を縫い、前へと割り込んできた革ジャン男。

私と、携帯をいじって居た女子高生を見て多分忖度したのか私側にだけ体で押して割り込み、最前列へ。


押された側のブラウスにタバコ臭。まるで喫煙所の匂いも、だが。肘で疲れた脇腹が痛いのも腹立たしい。睨めるなら睨みたいが男は前。今度は隣に立つ子供に対して何やら怒って泣かせている。


折角の女子会前で、張り切ってお洒落した氣分がわくわくが、下がる。


なんかなあ。

誰も革ジャン男に話しかけない。

泣いた子は塾カバンで、1人。

泣いた子にも誰も話しかけない。



なんか、天罰でも。



と思いつつただ、信号を待つ。


次の瞬間。

前に目を戻すと。

車が止まったのを見てまだ赤信号で歩き出す男。

そこに、自転車。


慌てて尻餅を付いた男。

器用に抜けた自転車。


そして。

誰かが、言った。


「うわーおじさんかっこわるーい。」

「まだ赤やん?なんであそこにいるの?」


ママどうしてと訊ねる幼稚園児。

あちこちでかすかな笑い。私も思わず笑ってしまい、男から目を逸らす。


「誰だ今笑ったのは」

顔を真っ赤にし、誰が言ったのかを見ようとする男だったが、早々信号は青になり誰もが渡る。座り込む男は邪魔。



渡った先のコンビニでさっき泣いて居た子を発見。


もう、同じカバンの仲間と話をしている。

笑えるなら、大丈夫そうかな。



待ち合わせの場所まで後二十分。

何か、手土産を探しつつ歩くかな。

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