初恋らびりんす

ゆきな

1話完結

(今日もかっこいい!!!)


私の名前はい村井こはな。


学園1の王子様、篠宮つばさくんに全力で恋してます!


高校2年生にして初めての恋。


入学式のときにつばさくんに一目惚れして、2年。


なのに…まったく関わりがないんです!


人見知りでコミュ障な性格で自分に自信がないから、一向にアプローチができないんです!


今日もつばさくんを見るために頑張って学校に行こう!


いっけない、遅刻しそう!


「いってきまーーす!」


私は家を飛び出して駅まで向かう。


雀はピヨピヨないて、空はきれいな水色。


つばさくんのおかげで私は毎日たのしいです。


駅について、定期をピッてする。


「…んが閉まります」


という声が聞こえて急いで電車に滑り込む。


セーフ。


今日も遅刻回避だ。


学校の最寄り駅について、私の学校の生徒たちがぞろぞろ出ていく。


私もその中に混じって学校まで向かう。


「篠宮くん!」


女生徒たちの中に1人が叫んだと同時にたくさんの女の子たちが1人の男の子の周りにむらがった 。


私もその男の子に釘付けになった。


つばさくんはいつもキラキラしている。


かっこいい。


周りの女の子たちが何やらつばさくんに話しかけている。


写真撮っていい?とか髪切ったのどう?とかだ。


そんなたくさんの声をひとつも漏らさず、つばさくんは笑顔で応える。


私もそんなふうにつばさくんに話しかけられたらいいのに。


ついため息が出た。


学校について、教室まで向かう。てくてく。


いつか…つばさくんとお話しできたらいいな。




休み時間は毎日、つばさくんを探す。


人通りの少ないこの廊下の奥の窓からグラウンドを覗き込むのが毎日のルーティーンだ。


つばさくんはいつもグラウンドでバスケをしてることが多い。


でも今日はいなくて、いつもの女の子たちもつばさくんを探しているみたいだった。


どこにいるんだろう。


そんなことを思っていると、突然誰かに背中を抱きしめられた。


「早まらないで!」


「え?」


思わず掠れた声が出た。


自殺と勘違いされたということは数秒で察したのだが。


必死な顔で私に抱きついているつばさくん…という状況が飲み込めず、しばらくフリーズしてしまった。


「あっあの、自殺じゃないです!」


ドキドキしながらそう言った。


「え…」


つばさくんはポカンとした顔をして、一気に真っ青になった。


「ほんっとにごめんね」


目の前で頭を大きく下げられて、私はパニックになった。


「全然大丈夫です、あの、本当に」


つばさくんは顔をあげて、不安そうな顔で言った。


「あの、お詫びにスタパかなんか奢らせて」


私の頭は真っ白になって、小1時間くらい経った後、デートの約束をしたんだって気づいた。


授業がおわってしばらくすると、教室の前がざわざわしていることに気づいた。


私が教室のドアの方をパッと見ると、


「村井さーーん」


きらっきらのつばさくんに笑顔で名前を呼ばれて、胸がドキドキした。


私は急いで荷物をまとめて、つばさくんのところまで走った。


つばさくんとの放課後デート、楽しかった。



「ねえ、村井さん、最近つばさくんと仲良いんだね」


私は明らかな敵意を感じて怖かった。


「ちょっと調子のってるんじゃない?」


「あんたと篠宮くんが釣り合うわけないじゃん」


「篠宮くんが優しいからって勘違いしちゃった?」


確かに…篠宮くんが優しいから…仲良くなれたって勘違いして…


思わず涙がこぼれた。


そのとき


「なにしてんだよ」


「しっ篠宮くんがこの子のせいで迷惑してたから、注意しといてあげたの!」


「うるさいな、俺がこはなと一緒にいたいんだよ」


篠宮くんは本気で怒っているようだった。


その迫力に女の子たちはどこかに逃げていった。


「こはなちゃん…俺好きなんだ」


私はその意味がわからず、小さく声が出た。


「俺、こはなちゃんが好きだ」


わたしはその言葉をなぞって、今度は思わずさけんだ。


「私も大好き!」


私の恋は無事ゴールに…いや、2人の恋はまだまだこれからです♡

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初恋らびりんす ゆきな @tamagosann

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