クラスカーストトップの女友達は、俺にだけめちゃくちゃノリがいい

のりたま

プロローグ


 「――あ、や~~っと起きた♡」


 目を開けた先、視界いっぱいに広がるのは、見慣れた自室の天井。と、真横からこちらを覗きこむようにしていた美少女の姿。

 肩までかかる栗色の髪はところどころ乱れ、整った顔立ちはほんのりと赤い。視線を下げれば真っ白な肌とデコルテがあらわになっており、すぐ下では豊かな胸元を惜しげもなくさらしている。 

 下着もなにも身につけていない生まれたままの姿。それでもニヤニヤといじらしげな笑みを浮かべるソイツはなにやらご満悦な様子。


 「なんだ? 面白いことでもあったのか?」

 「寝顔、けっこー可愛いなと思ってさ。口元緩みっぱなしだったよ♡ 幸せな夢でも見てたのかな~?」

 「そ、それは……」

 

 この状況下で否定するのも違う気がする。かといって肯定したらマウントをとられかねない。

 そんな風に考え、ふいっとそっぽを向いてやった。カーテンの隙間から差しこむ日差しはすっかりオレンジ色に染まっていて。

 俺たちが長いこと行為・・に及んでいた証でもあった。


 「こーら、よそ見すんな♡」

 「うおっ」


 無視をされたと思ったんだろう、ソイツがギュッと身体を寄せてくる。おかげでただでさえデカい胸がむにゅりと押しつけられ、柔らかさと温もりが全身に広がってきて。

 これは、ヤバいな。せっかく鎮まっていた俺の息子がみるみる元気に……。


 「どーお? ゼロ距離密着体感型アトラクションの感想は――って、あははっ、おっきくなってきてるし♡」

 「ちょ、バカ触んな……!」


 慌てて手を振り払うが時すでに遅し。恥ずかしさで穴があったら入りたい状態の俺をよそに、子どもみたく楽しげな笑い声をあげるソイツ。

 ひとしきり笑ったところで、今度は耳元にささやきかけてくる。


 「(で、どうしたいの?)」

 「っ」


 熱い吐息混じりの言葉。脳を蕩けさせるような甘い音に、二の句が継げなくなる。チラと隣を見やれば、白い歯をみせてのニヤケ面。指先で頬っぺたをつんつんしてくるオマケつき。

 いつもであればやり返すところだが、今日はあまりにも分が悪い。だから俺は思考に逃げる。

 脳内時間で十分かそこらだろうか? たっぷり逡巡をした俺は、ソイツを見据えた。


 「……もう一回したい、です」

 「ん、いいよ♡」


 俺の言葉に即断即決&とびきりの笑みを浮かべて、顔を近づけてくる。ピンクの唇が触れて小さなリップ音を奏でた。


「でもさ、今度は優しくしてよ? あんたの、まだ入った感じするんだから♡」

「……善処します」


 俺――春風はるかぜ彼方かなたの言葉に、彼女――陽咲ひさき亜澄あすみは満足そうにうなずきながら、手を伸ばしてくる。

 その手をとり、再びのキスを交わし、己の欲望に身を任せるように彼女を求めていく。


 陽咲は恋人じゃない。いちクラスメイトであり、ただの女友達。

 だけど彼女はどこまでも――ノリがいいのだ。

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