第3話

▶あらすじ


剣と魔法の学園ファンタジー乙女ゲームの世界に転生した、主人公ノワール。


ゲームの物語とその中でのノワールの立場は、こうだ。

ゲーム主人公であるヒロインは異世界から召喚された救世主「白の神子」で、彼女は三人の使者(攻略対象)と学園生活を送ることで絆を深め、世界を滅ぼす存在であるラスボスに立ち向かうのが使命。

一方、ゲーム中では悪役令嬢のノワールは、白の神子と攻略対象の絆を築く過程の障害となる。

それだけでなく、ヒロインと真逆の役割を持つ「黒の神子」という立場のノワールは、ラスボスを目覚めさせた末に、双子の片割れのキュリテと共に命を落とす運命にある。


ゲームの設定とは異なり、実際にはブラコンでキュリテに頼り甘えてばかりのノワールは、死を防ぐためと称してキュリテに入れ替わりを提案する。

シスコンでノワールに甘いキュリテが彼女の提案を飲み、二人はゲームの舞台である学園生活を入れ替わって過ごし始めることになった。


こうしてノワールたちは万全の状態で白の神子の召喚の日を迎えたつもりでいたが、状況はゲームとは大きく異なる予期せぬ方向へと歩み始めた。


召喚された男性恐怖症の白の神子、白の神子の使者に選ばれなかった本来の攻略対象、双子や白の神子を試す発言の占星術師、双子の入れ替わりに気付かない鈍感婚約者、悪役令嬢と取り巻き令嬢の対立、そして悪役令嬢まっしぐらな女装中のキュリテ……。

安全圏内にいたはずの男装中のノワールも騒動に巻き込まれ、彼女はゲームで敵対するはずの白の神子たちと交流を深めていくことになる。


次々と状況が混乱していく中で、遂に双子の入れ替わりが白の神子たちに露見する。

バレたことで入れ替わりに意味がなくなったと感じたノワールは変装をやめようとするが、頑ななキュリテの態度によって、入れ替わりは継続。

ノワールの死亡を阻止するために独自に暗躍していたキュリテは、少しでもノワールに成り代わり、立場を反転させる必要があった。


白の神子たちが地道に力をつけていく裏で、キュリテはラスボス覚醒のフラグを立てていく。

ゲーム通りであれば、ラスボス覚醒のフラグは本来ノワールが立てていくもので、彼女はキュリテに無理心中を図って殺し、ラスボスに体を奪われる。

そして、ラスボスを討とうとする白の神子たちによって、ノワールも命を落とすはずだった。


本来ゲームストーリーを覚えているはずのノワールは記憶を封印されており、思い出したのはラスボス復活直前の出来事。

慌てるノワールをよそに、計画通りにノワールの設定をなぞることが出来たキュリテは目論見通りにラスボスを目覚めさせ、身体を乗っ取られる。

キュリテの転機により双子は死なずに済んだが、彼が命を張ってでも自分を助けようとしていたことを知ったノワールは、絶望しかけた。

そんな中、キュリテの力の一部である黒猫オプスがノワールの元に残ったことで、ラスボスは不完全な状態で覚醒していたことを知る。

完全なる絶望を防ぐためのフラグが手元にあることに気付き、キュリテを取り戻す希望を見出したノワールは、これまで共に絆を紡いだ白の神子や彼女の使者たちと共に、ラスボスに立ち向かう。


白の神子たちの力を借りてラスボスと対面したノワールは、キュリテが積み上げた闇のフラグの一つ一つを反転させていく。

そうしてようやくキュリテの肉体を解放させたノワールは、意識のみとなったラスボスを倒して日常に戻った。


背負いがちなキュリテにこれ以上重荷を背負わせたくないと思ったノワールは、キュリテを甘やかそうとする。

そんなノワールに少しだけ素直になったキュリテが照れるという、これまでの立場が逆転したかのような生活が始まる。

こうして、双子生存エンドを迎えた彼らの未来は、希望に溢れた日々へと変わっていった。

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