第4話 栄光と執念〜奥州の風雲 

 第12話

 11世紀の東北地方――。日本の遥か北で、出羽国を支配する清原氏と、陸奥国で覇権を誇る安倍氏という強大な豪族たちが、かつてない激しい戦いの幕を開けようとしていた。だが、その均衡を崩すきっかけとなったのが、康平5年(1062年)に勃発した「前九年の役」である。


 安倍氏は陸奥国府と激しく対立し、ついには敗北。戦局を左右する活躍を見せたのが、清原氏の武将・清原武則だった。彼は鮮やかな指揮で陸奥の地に名を轟かせ、国府の支持を得てその勢力を拡大する。そして戦後、清原氏の当主として清原武貞がその地位を継承し、東北の平和が一時的に訪れるのだった。しかし、その安堵はやがて新たな波乱の幕開けを予感させるものでもあった。



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 第13話:血筋の継承


 やがて清原武貞は、前九年の役で滅ぼされた安倍氏の娘・有加一乃末陪ゆかのすえひを妻に迎える。彼女は安倍氏の血を受け継ぐ一族であり、彼女の連れ子である清原清衡も、清原氏において養子となる。この婚姻によって、清原氏は東北の名族としての威厳をさらに強め、かつての敵安倍氏の血統を内包した強力な家系となっていく。


 しかし、武貞と有加一乃末陪の間には新たに嫡男清原家衡が誕生し、これが後の清原家に深い溝を生む火種となるのだった。



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 第14話:兄弟の亀裂


 時は流れ、武貞の死後、清原氏の惣領(当主)には清原真衡がつく。真衡は、自らの勢力をさらに強化すべく、海道小太郎(成衡)を養子に迎え、桓武平氏や源氏と婚姻関係を築くことで、清原氏の未来を盤石なものにしようと尽力する。しかしその一方で、家衡と清衡が次第に真衡との関係に不満を抱き、やがてそれが対立へと発展していくのだった。


 成衡の婚礼の際、真衡の館に訪れた真衡の叔父・吉彦秀武が、真衡の冷淡な振る舞いに侮辱を感じ、砂金をぶちまけて帰国する。この一件が、清原家に亀裂を生む大きな要因となる。



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 第15話:源義家の介入


 永保3年(1083年)、真衡は叔父・秀武に討伐の軍を向け、さらに同じく敵対する家衡と清衡も戦火に巻き込む。事態は泥沼化し、東北の地は再び争乱の渦中に落ちていく。そしてその時、中央から清原氏の内乱を鎮めるべく、一人の武将が派遣される。彼の名は源義家――。


 奥州での名を高らかに轟かせる義家は、真衡の館で盛大な歓待を受けつつも、その胸中には清原家の争いを見過ごすわけにはいかないという決意が秘められていた。



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 第16話:清原家の崩壊


 真衡の急死が清原家の運命を大きく変える。義家の裁定により、真衡の所領であった奥六郡は清衡と家衡で三郡ずつに分けられるが、両者の対立は避けられなかった。清衡と家衡の争いは激化し、ついに応徳3年(1086年)、家衡は清衡の館を襲撃。清衡は命を取り留めるも、一族は殺され、深い悲しみと怒りを胸に義家と手を組んで家衡に反撃する決意を固める。



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 第17話:奥州の終焉


 寛治元年(1087年)、義家と清衡は金沢柵に立て籠もる家衡・武衡の軍勢を包囲し、長きに渡る激闘が始まる。義家の戦略により兵糧攻めが決行され、ついに飢えに苦しむ金沢柵の者たちは崩壊寸前に追い込まれる。飢餓と恐怖の中で、ついに家衡は討たれ、清原家は崩壊の時を迎える。


 清衡は一族の仇を討ったものの、かつての東北の雄族清原氏は失われ、彼自身もまた新たな戦乱の波に巻き込まれていく運命にあった。その姿は、まるで奥州の大地そのものが抱える宿命を背負ったかのようであった。


 

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 こうして東北の豪族たちは、幾重にも重なる抗争と宿命の中で自らの血を燃やし尽くした。大地は再び静寂を取り戻すが、その影には、彼らの執念と誇りが今なお息づいている――。


 源次は新しいキャストに胸がワクワクした。ザ・ハイロウズにそんな歌があったな?


 1. 清原清衡きよはらきよひら - 松山ケンイチ


 清原清衡は、清原氏の末裔として、家族と一族の仇を討つための復讐に身を捧げる男。かつての東北の雄族であった清原氏が崩壊する中で、彼は一族の名誉を守るために戦い続け、清原家を背負って立つ。その宿命は彼に重くのしかかり、戦乱の渦に巻き込まれていくが、心の内には深い葛藤と悲壮感が宿る。



 2. 清原家衡きよはらいえひら - 小栗旬


 清原家衡は、清原氏の存続を懸けて激戦に臨む、誇り高き武将。反乱の中心人物として、失われつつある一族の名誉を守ろうとする彼は、敵対する清衡に対しても決して屈しない強固な意志を持つ。

 

 3. 清原武衡きよはらたけひら - 山田孝之


  清原家衡と共に戦う勇猛な武将で、清原一族の戦力の中核を担う存在。彼は戦いにおいて豪胆で、常に前線で戦いを挑むことで家衡を支え、一族の命運を共にする。


 4. 清原清衡の母 - 鈴木京香


 清衡を支える母親であり、清原家における精神的支柱のような存在。夫を戦で失い、家族や一族の絆を守り抜こうとする彼女は、時に厳しくも、深い愛情で息子を見守る。


 次回予告:「新たなる時代の夜明け」


「えっ!?主役が変わるの?」

 源次は膀胱が爆発しそうだった。


 源次は録画した大河ドラマの最終回を見終わったところで、大きくため息をついた。物語の結末に感動したはずなのに、心の奥に残るのは虚しさばかりだった。


「結局、俺にはこんなドラマみたいな生き方はできないんだよな…」とつぶやき、リモコンを放り投げる。広いリビングには源次ひとりだけ。ゴールデンウィークとはいえ、友人たちは家族や恋人と旅行に行っているし、自分は就職活動で頭がいっぱいだ。お金もないし、恋人もいない。気晴らしに外出する気力さえ失せている。


「何なんだよ、こんな生活!」ソファに仰向けになり、天井をじっと見つめる。そうしていると、自分の将来への不安や焦りが次々に頭をよぎる。大学の同期はすでに内定をもらって安定した未来に向かっているのに、自分はまだどこにも採用されていない。何かやりたいことがあればともかく、特別な夢も見つからずに、ただ流されるように過ごしている現状に、嫌気が差してくる。


「もう、何か変えないといけないのかもな…」と、ぼんやりとした決意が心に芽生える。自分がどうにか動かなければ、この無意味な日々は何も変わらない。かといって、何から始めていいのかもわからないまま、ただ悶々とする。


 ふと、スマホを手に取り、SNSを開くと、友人たちの楽しそうな旅行写真や恋人とのデートの様子が次々に表示される。それらの投稿に「いいね」を押すのも虚しくなり、SNSの画面を閉じた。


「何でもいい、変わりたい…。俺も…」小さな声でつぶやく源次。今度こそ、自分の人生を変えるきっかけを探そうと心に決めたが、どこからどう始めればいいのか、考えはまたすぐに堂々巡りになってしまった。


 結局、その夜も何もせずに眠りについたが、心の奥にはまだ小さな火種のような「何かしたい」という思いが燻っていた。


 

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