第22話 新しい魔法

 その後も試練ダンジョンで修行を続けた。

 止め時がわからなかったのも事実だ。

 ノーマが攻めてきたのがわかったらすぐにでも飛び出たのだが。


 ある日、ノルンの声を聞いた。

「穂村薫はこの能力部屋において、1定以上の魔力を放出しました。中央にあるクリスタルに触れてください」


 以前、アキミとモナミが能力を授かったクリスタルに僕は触れた。

「新しい能力を獲得しました」

 そうお告げがあった。

 僕は自分のステータスを確認した。


穂村薫

レベル:27

職業:魔法使い

魔力:無限大

回復力:256

能力:童貞(暫定)、魔法限界突破(暫定)


「おお、新しい能力『魔法限界突破(暫定)』というのが増えました」

「本当ですか? 素晴らしいことです。カオルさんの努力が報われたのですね」

「ありがとう。さっそく使ってみよう」


「『魔法限界突破(暫定)』とは多分、今までより強力な魔法が使えるようになったはずだ」

 僕はさっそく試してみた。

「ファイアボール」

 ファイアボールは今まで通りの威力のものが発射された。


 僕はクリスタルへと近づき、ペチペチと叩きながら、文句を言った。

「クリスタルさん、どういう事なんですか。魔法限界突破(暫定)とは高威力の魔法がつかえるのではないのですか」

 クリスタルが返答をした。

「魔法限界突破(暫定)は……」


 僕は魔法限界突破について教えてもらった。今までの魔法とは使い方が違った。

「ライム師匠、『魔法限界突破(暫定)』の方を極めましょう」

「わかりました。どんな魔法なんですか」

「それはこれからお見せします」


 僕はさっそく教わった魔法を使ってみた。

 ライム師匠は僕の使った魔法を目の当たりにして興奮している。

「すごいですね……。これは複数人を相手にできますね」


「僕も正直、驚いています。こんなにすごい魔法だったとは」

 この魔法なら『魔法使い軍団』がきても対抗ができる。

 回復力も256になっていた。

 しかし、ライム師匠に教わった通り「キュア」を試したものの効果は現れなかった。


 限界突破魔法の修行の合間にも何度か試してみた。

 しかし、回復魔法を使うことはできなかった。何か別の条件が必要なのだろうか。


 僕はこれが修行の一区切りだと思い、カーサの町へ戻ってきた。

 すると屋敷内があわただしい。


 サキさんが小走りにやってきた。

「カオル様、大変です。ノーマが攻めてきました。まだここからは遠いため、近辺に被害はでていませんが、攻められた町や村は被害にあっているようです」

「僕が食い止めよう。そのための魔法も覚えてきた」


「私達もお供させてください」

「カオルー。僕もがんばるんだのぜー」

 アキミとモナミも装備を整えてやって来た。


「ライムさんは屋敷に残ってください……。シロと一緒に僕たちの勝利を願っていてください」

「わかりました、私は屋敷に残ります。いつでもカオル殿がもどってきてもいいように、お屋敷を掃除しておきますね。」

「ライムさん、お願いします。それではノーマ戦へは4人で行きましょう。ただし、戦闘は僕のみが行います。アキミとモナミ。それにサキさんも護身にのみ集中してください。僕はもう負けませんから」

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