『シップ』

やましん(テンパー)

『シップ』


 『血糖値高いですから、運動しましょう。歩くだけで、いいですから。』


 と、ドクターは言います。


 まあ、肩は痛いし、背中は痛いし、腰は痛いし、足は痛いし、たしかに運動するに越したことはないのですが、なかなか、これが鬱陶しいぞ。また、お散歩すると、当然に人に出会います。これは、またらさに、恐怖なのだ。


 しかし、シップしても、元が直らないと、もちろん一時しのぎにすぎないのです。また、お散歩恐怖症に効くシップはないかしら?


 それでも、『なんとかとシップは止められない』とは、良く言ったものです。



 ある日の事、かなりランダムなお散歩中に、またまた見慣れないお店に、行き着きました。


 ぼくは、よく、そうしたことがありまして、しかし、もう一回探そうとしても、もう、なかなか見つからないわけです。


 近年は、危ないお店か? と思わることもありますが、見た目はしごくあたりまえなことが多いのです。


 そこは、だから、当たり前の薬屋さんでした。


 シップ買っていこうと思いました。


 シップも、お安くはありませんが、割安な商品も、中にはありまして、有名ではないだけで『効き目にかわりないですよ。』と、薬剤師さんもおっしゃいますから、自分の購入曲線が、価格線ときちんと交わるものを選んだわけです。はい。冷感シップです。ほかほかシップは、ぼくの場合痒くなりやすい気がしていました。(気です、気。)


 で、そこまでは、普通のお散歩でした。


 そのばん、やれやれと、シップを張ります。


 これは、神聖な儀式みたいなものです。


 むかしのシップをご存知ですか?


 母が缶にはいった、まっちゃいろな、どろどろの物体を病院でもらってきまして、包帯にぬりたくって、ぼくの足にむりやり結んだり貼ったりしていました。これ、時間がたつと、どろみたいに、ひび割れたかちかちの塊になります。


 まあ、しかし、理屈は変わらないわけだ。


 儀式が、多少簡略化しただけな、わけですよね。


 『なむなむ。』


 といいながら、シップの裏の薄い膜をはがし、あちこちに貼るわけですが、こいつがなかなか難しいのだ。


 しばしば、ぐちゃぐちゃに縺れたりします。


 そうすると、もはや、元には戻せない。


 もったいないから、やや、ぐちゃぐちゃになっても、なんとかして縺れを剥がして貼ろうとするわけよ。


 まさに、涙ぐましい努力なわけなのです。


 まあ、儀式というものは、たいがい、多少の苦痛と我慢が必要ですが、ぼくは、だから、あまり好きではありません。


 さて、その夜も、いつのまにやら、更けて行きまして、ついに寝る努力をしなければ、ならなくなります。


 子供みたいに、寝るのは苦手なわけです。怖い夢をたくさんみるからです。そりゃもう、テレビのオカルト番組を超越する場合さえありますから。


 だから、周りを、くまさんや、パンださん、こんちゃん、ラジオさん、本さん、ベートーヴェンさまやシベリウスさまのCDさん、などなどで固めています。


 まあ、古墳みたいなものですね。


 本質的な気持ちは違わないような気がいたします。


 さらに、ここでも、睡眠導入剤の力を借りるのだ🙏


 しかし、明け方近くでした。


 でたのです。


 足元に、なにやら、やたら、哀しそうな姿が、すっ、と、現れた✨のでした。


 どろどろどろどろ❗ひゅー❗


 まあ、よくは、わかりませんが、『あんたがわるい。あんたがわるい。』と、言っているようでした。


 まあ。そりゃ、ぼくが悪いんだろう。なんでもそうよ。道路が下でお空が上なのも、ぼくが悪いんだ。


 反論する理由はありません。


 『ええ、ええ、この世があるのも、ぼくが悪いのだ。なら、どうしろと?』


 と、ぼくは、叫びました。


 すると、『あんたがわるい。あんたがわるい。………』と、まだ、いいながら、それは消えました。


 『やれやれ。また、良くない夢かな。シップ切れかあ。』


 で、また、シップしようと、箱を取り上げると、ふと、文字が眼に入りました。



 『霊感シップ。』



 😱😱😱😱😱😱😱😱



      おわり



   🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇🙇


       🤲






    


 


 


 

 

 


 


 


 



 

 


 

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『シップ』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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