第25話 貴方の幸せを祈る
☆
私は神里由紀子と遊んでいた。
由希子は当初は乗らない感じだったが途中から少しずつ笑みが増えてきた。
私達はショッピングモールに来た。
あちこちを巡ってみる。
ゲームセンターでプリクラを撮ったり。
タピオカティーを飲んだりした。
するとその中で由希子が私に「ねえ」と聞いてくる。
私はその言葉に顔を由希子に向ける。
由希子は私を見てから「...」となって複雑な顔をする。
それからまた真剣な顔になる。
「私...貴方に迷惑をかけてないかな」
「...そんな事ないよ。...全然迷惑がかかってない。...私を心配しているって事でしょ?嬉しいよ?」
「...だけど私は...その。...アイツ。...彼にも迷惑をかけているし。こんな女、嫌だよね」
「彼は貴方の事も理解している。彼は彼なりに考えているよ」
「...何でそれが分かるの?そんなの分からないよ」
「私は分かる」
そう言いながら私は由希子を見る。
由希子は「...」となって私を見てきた。
何故?、と言いたげな顔だ。
私はその姿に赤くなる。
「...彼をずっと見てきたから。彼の心は...いや。彼の性格が言っている」
「...本当に貴方は好きなんだね。彼が」
「彼が好きだから、もあるけど...本気で彼を理解したいから、もあるよ」
「...星羅...」
「私...本気で彼を理解したい。彼を好きになりたいの」
「...」
私は「でもまあ決めつけは良くないけどね」と苦笑する。
すると由希子は「...もう一度、彼と話したい」と話しながら私を見る。
その言葉に私は彼女に向いてから柔和になる。
それから思うに。
由希子も相当に考えてくれているんだな、と思う。
「由希子はどうしたい?」
「...私は彼と貴方達と十分に話す。それから全てを決めていこうかなって思う」
「...そっか」
「星羅。...私、貴方と友人になれて良かった。本当に愛せて良かった」
「...由希子...」
そして由希子は笑みを浮かべる。
それから私から視線を外して前を向いた。
私もその姿を見てからそのまま前を向いた。
「私ね」
「...うん」
「...私は貴方が好きなの」
「好きっていうのは...」
「...私は貴方が同性として好き」
「由希子...」
「私は心から貴方が好きなの。...だけど勘違いしないでほしいのは。...邪魔をしたのはそれが理由じゃ無いの」
「...それは...つまり...」
「私が邪魔したのは貴方達の幸せを願った結果。...まあ結局私が悪いんだけどね」
「...そうだったんだね」
私はその言葉に複雑な顔をする。
そして私は両手の拳をグッと握る。
すると由希子が私の手を握ってから頷く。
「...ゴメンなさい。悩ませて」
「...何も...分からなかった。私、貴方の気持ちも何も」
「違うよ。何も開示しなかった私のせいだよ」
「...」
余りにも衝撃的な事に私は唇を噛む。
それから拳を開ける。
そして私は由希子の手を握る。
そうしてから由希子を見た。
「...私の気持ちは良いんだ。...だから私はこれから貴方を傍で見守る」
「...けど...」
「私はそれで良いの。...本当に有難う。星羅」
「...だけど私...貴方の気持ちに何も応えられてない」
「答えなくて良いんだ。...大切なものはもう貰ったよ」
そして私を柔和に見てくる由希子。
私はその言葉に「!」となってから持っているペットボトルを握る。
それから私は由希子に向いた。
「...私、貴方の想いにも応えたいから。頑張る。全部救うとか欲張りとか言われるかもしれないけど...上手く解決出来る様に頑張る」
「いつも通りだね。星羅は。...だけどさ。私、それが一番嬉しいし...それに私はそういうのでもう救われているよ」
「えへへ。傲慢だよ。私」
「傲慢だね。本当に...だけど私それが星羅って思っているから」
由希子は私を見る。
私はその姿を見てから勢い良く立ち上がる。
それから私は「コスプレ写真館に行こう!」と由希子に笑顔になった。
由希子は「ホ?」という感じで固まる。
「...コスプレ出来る写真館があったよね。それに確か...LGBTQも最優先してくれる様な」
「え、でも私は...いいよ」
「駄目。行くの」
「...で、でも私は...」
「コスプレしたら似合うって。絶対に」
「い、いや...」
そして私は由希子を引き連れてからそのまま駆け出して行く。
それからコスプレ写真館に来た。
ここはコスプレをしてからプリクラが撮れる場所。
特別な場所だ。
ここは実は...葉月さんに教えてもらった。
「...ね、ねえ...」
由希子はオドオドする。
だけどその中でもナース服に目移りしている。
私はその姿を見逃さなかった。
それから私は由希子に聞いてみる。
「由希子。どう?婦警さんとかあるよ?」
「...私、ナース服が気になる」
「そっか。じゃあ着替えよ」
「...で、でも」
「良いから。アハハ」
それから私は由希子と一緒に着替えた。
そして私は婦警さんに着替え由希子を見る。
由希子はナース服で...スカート丈が短い。
あはは。
「...こ、これは...」
「じゃあ撮ろう」
「...う、うん」
そして私は由希子と先ずはナース服と婦警さんで写真を撮り。
そのまま色々なコスプレをする。
スケバンとかアナウンサーとか魔法少女とか。
楽しい。
「...ね、ねえ...これも着てみたい」
「...これ...」
そこに飾られていた服。
それは私が好きな小説のキャラの服装だった。
私は由希子を見る。
由希子はニコッとしていた。
知っているから言ってるのだろう。
「...良いよ。じゃあ着替えよっか。私が女装だね」
「...いや。どっちも女性キャラが良い」
「え?...良いの?それで」
「うん。お願い」
「...そっか。じゃあ女性キャラで」
私は由希子の願いを叶える為。
そのまま女性キャラのコスプレをした。
それから私達は笑みを浮かべ合う。
そして由希子と写真を撮影するのを楽しんだ。
それから私は...その写真を撮った後に由希子から聞かされた。
何を聞かされたかといえば。
由希子自身は大病を患っている。
脳腫瘍である、という事を。
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