ハイスペック幼馴染イケメンが好きな乙武さん。だけど何だか話しかける相手を俺と間違っている

アキノリ@pokkey11.1

第一章 あれ?

?!

第1話 は?待ってくれ。た、高島は?

「今日も格好良いな。たっちゃん(高島)」


ああまーた今日も始まった。

このボヤキ。

そう思いながら俺は眠たくもない上半身を机に倒して寝たふりをしてからその始まった声をずっと聞いていた。


1年以上ずっとこれじゃないか。

乙武星羅(おとたけせいら)さん。

容姿端麗。

相当な成績優秀者。

可憐であり...学校一の美少女。

短い肩までの髪の毛で...セミロング。


この人はすげぇ可愛いと思う。

そんな彼女と俺。

何の縁も無いのだが。

では何でそんな事を考えているのかって?


それは理由がある。

彼女は告白するタイミングを狙っている。

そう。


高島凪という凄まじい美男子に、だ。

運動神経抜群。

成績優秀。

ハイスペックである。

女子に囲まれる成績優秀なイケメン。

どこにも隙が無いとはこの事を言うのだろうけど。


乙武さんと高島は同じ教室の幼馴染だ。

まあだからどうした、という話になってしまうのだが。

そう思いながら俺とは関係の無い外野の恋を見ながらそのまま寝たふりを続ける。

1年の頃から同じクラスだけど1年経った今も告白しない乙武さん。

何なのこの子とドン引きだが。


「...まあ人もそれぞれ」


そう呟きながら俺は4月の空を見上げてからまた突っ伏した。

そして今日もいつも通りに過ぎていく。

その筈だった。



俺は放課後になってから起き上がる。

欠伸をしてから伸びをする。

丁度、乙武さんと高島は帰ったのか部活に既に行ったのか。

そう思いながら俺は放課後のオレンジ色に染まっている教室を見渡してからボッチなりに準備をして帰宅する。

その途中で叫ぶ声が。


「可愛いじゃんかよ。お前。一緒に行こうぜ」

「そうだそうだ」


この辺りで有名なごろつき。

んでそれで絡まれているのが...乙武さんだった。

俺は驚きながら見ていると乙武さんは涙を浮かべて嫌がっていた。

そして何かはだけさせようとしている。

まさかの事に俺は周りを見る。

しかし俺以外に通行人が...、と思っていると乙武さんと目が合った。


「...」


彼女は何も言わない。

だが俺に対して「お願い。助けて」と心で言っている様に見えた。

俺はイラッとしながら110番しようとしたその手を止める。

そして偶然だったが。


趣味で警察車両を見るのが好きだった俺はスマホにサイレン音を録音していた。

ボッチなりの趣味だが。

警察車両の音を記録している。


110番してから恐らく時間がかかる。

それでは間に合わない。

そう思った俺はそれを大音量でその場で流した。


「な、何だ!?警察か!?」

「マジかよ!サツかよ!」


当然だが男どもは下ろそうとしたズボンを持って慌てて逃げて行った。

それから乙武さんと俺が残される。

俺は人混みに消えて行ったその男どもを見てからサイレン音を切った。

そして俺はその場から踵を返して去ろうとした。

すると「待って」と声がした。


「...貴方...確か。同じクラスの在里和馬(ありさとかずま)くんだよね?」

「...」

「あ、ありがとう。本当に怖かったから」


それだけ聞いてから俺は慌てて駆け出して行く。

それから俺は家の中に駆け込んでからスーハーと息を整える。

危ない危ない。

何を危険な事をしているのか。


「ボッチはボッチなりに生きないと」


そう言い聞かせながら俺はアニメを観る。

録画していたアニメ、ゲームをする。

そしてその日は過ごしそのまま翌日になってから学校に登校する。



翌日、県立瑞山高校に登校する。

すると噂が噂を呼んでいた。

「星羅さんに強姦が襲っていたって」とか。

「助けた子が居るんだって」とか。

まあどうでも良い。


「...ふあ」


今日もよく欠伸が出る。

そう思いながら俺は多欠伸をしながら教室に入る。

すると「あ」と声がした。


「おはよう。在里君」

「...へ?」


教室の視線が俺に向いた。

そりゃそうだ。

だってぼっちの俺に対してハイスペック女子が。


今まで彼女に声を掛けられた事の無い。

というか今まで女性に声をかけられた事の無い様な俺が声をかけられた。

ど、どうなっている。


「...は、はい?」

「おはよう。...その。...ありがとう。昨日」

「え?あ、あれは...」

「君は優しいんだね」


そしてそのまま手を振った。

それから去って行く乙武さん。

俺は目をパチクリしてからショートした感じで頭の中で熱を発する。

な、何だってんだ...?



彼女はその後。

高島の事を当然ながら...と思ったが。

予想外の展開が起こった。

何故なら俺に話しかけている。


「起きた?」とか。

「移動教室だよ」とか。

「教科書忘れた。貸して」とか。


何が...?!

1年生の入学当初から話した事無いのに。

俺は唖然としながら半分、無視していたのだが。


「何で俺に...」


そう呟きながら俺は汗をかきながらグラングランと頭の中を揺らす。

天使と悪魔が囁き合っていた。

俺はよく分からないままそのまま放課後をまた迎える。


「...帰るか」


今日は疲れた。

とっとと家に帰って寝たい。

そう思いながら下駄箱に行くと。

何故か先に行った筈の乙武さんが居た。


「...」

「あ。来た来た」

「...あの?...その。君は...高島に付いて行かなくて良いの?」

「うん。君と話がしたいから」

「は?!」


もう意味分からなくて回線がスパークしそうなんですけど。

どうなっているのこれ。

俺は思いながら顔を引き攣らせた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る