ギャルゲーのモブキャラに転生した俺は覚えてない間にヒロイン達を攻略していたらしい〜主人公がヒロイン達を不幸にするので、代わりに俺が幸せにしようと思います〜
蝶野
第1話 目が覚めたらモブキャラでした
「…………え」
目が覚めたら、知らない部屋のベットで横になっていた。
混乱しながら体を起こして部屋の中にあった鏡の前に立つと、鏡に映ったのは見覚えのあるとあるキャラだった。
前世で一番好きだったギャルゲー「学園のS級美少女達に好かれていた件」に登場するキャラクターだ。
とは言っても、主要人物ではなくクラスメイトのうちの一人。
いわゆるモブキャラだけど。
「……マジか」
どうやら俺はギャルゲーの世界に転生してしまったらしい。
……と言うことは、ここは千歳和樹の部屋ってことか。
俺は彼がどんな人物なのか全く知らないが、整理整頓の行き届いた部屋を見るに几帳面な性格なのかもしれない。
「……って、今日登校日かよ!?」
部屋の時計が、今日が学校である事と授業開始の時間が刻一刻と迫っている事を知らせていた。
「と、とりあえず学校にはちゃんと行かないとな」
学校どころじゃないというのが正直なところではあるが、かと言って無断欠席するわけにもいかない。
それから急いで身支度を済ませて学校へと向かう。
「あっ、学校ってどの道から行けばいいんだろ……」
完全に失念してしまっていた。
まぁ、スマホで調べればすぐに分かる話か。
そう思っていたが、どうやらその心配は無さそうだ。
同じ高校の生徒達が歩いているのが見えたので、ついて行かせてもらうことに。
「……しかし俺、本当にゲームの世界に転生したんだなぁ」
しかも、そこが前世で俺が一番好きだった作品の世界ときたものだ。
その事実を……現実を再認識すると、自然とテンションが上がってしまう。
このギャルゲーには魅力的なヒロイン達が登場する。
そんな魅力溢れる美少女達を身近で見れるどころか、もしかしたら関われる機会が訪れるかもしれないのだ。
いや、いっそのこと自分から関わりに行く選択肢も……
「……いやでも、それはやめておくべきだよな」
もうストーリーは序盤ではない。
かなり進行してしまっている。
ヒロイン達の主人公に対する好感度もかなり高い状態だ。
そんな状況で俺が好き勝手にヒロイン達に関わっても、邪魔者になるだけだろう。
最悪の場合、主人公とヒロイン達の関係を拗らせる原因になってしまう可能性だってあるからな。
彼女達のラブコメを、俺のエゴのせいで台無しにするわけには絶対にいかない。
「残念な気持ちは勿論あるけど……ヒロイン達が幸せになれるならそれでいっか」
クラスメイトなので多少は関わる事はあるかもしれないけど、でもあってもそれだけだ。
彼女達との関係が変わる事は決して無い。
この時の俺はそう思っていた。
しかし、この時の俺は知らないのだった。
覚えていないだけで既に深く関わっている事を。
これからも深く関わっていくようになる事を。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます