テキスト的分析によるライトノベルについての考察

磯風とユキカゼ

一章 本論の目的

 ライトノベルと呼ばれる作品は、出版不況が騒がれる現在、その中でも一定の売り上げを出している。『出版指標年報 2023年版』(全国出版協会/出版科学研究所 二〇二三年)によれば、二〇二二年の文庫本・単行本を合算したライトノベル市場は約二百十一億五千万円で、ここに電子書籍版を含めるとさらに伸びるとしている。また。『ORICONエンタメ・マーケット白書 2022』(オリコン・リサーチ 二〇二三年)に掲載されている「シリーズ別売上金額TOP20」という表に載っている二十作品のうち、ノベライズ作品を除くすべての作品がテレビアニメ化されているなど、その人気は高い。さらに、全国学校図書館協議会が発行している「学校図書館」十一月号(全国学校図書館協議会 二〇二三年)に掲載されている第68回学校読書調査報告によると、中学生になって初めてライトノベルを読んだという生徒がいることが分かっており、若者の文化にあると言える。

 しかしながら、ライトノベルというジャンルは、そこに内包される多様性からその定義は人によって異なり、なおかつ非常に曖昧である。

 本論は「ライトノベルとはどのような性質を持つ作品と定義できるのか」という観点から、ライトノベル、そして近接するジャンルである大衆文学及び児童文学との文章表現を比較するという手法をもって、現行の定義は実際の作品に即しているのかを再確認するものである。


※補記

 カクヨムの機能面の都合上、実際は傍線を用いている箇所を傍点で示している。

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