人狼GAME 

じんせいRTA

第1話:GAMEの始まり

思えば突然の出来事だった。


寝ぼけた眼で視界を見渡してみる。


そこは僕が知らない場所だった。


「ああ、やっと来たね」


知らない声がする。


「君で最後だ、ここに来るのは」


僕は知らない声に聞いてみる。


「ここはどこですか?」


すると彼は笑う。


「そうだよね。僕も最初はそうだった」


僕はつづけて聞いてみる。


「あなたは誰ですか?」


彼は言った。


「僕?僕はエラート・ラジウェル。エレと呼んでくれ。昔そう呼ばれていたんだ。」


「……。」


「そうだね、まだ何が起きたか理解してないみたいだ。いいよ。話してあげる。」


そういうとエレさんは話し始めた。


「僕もわかってはいないんだけどね…ここには君を含めた12人の人がいる。僕は一番最初に来たんだ。突然ね。そして、そのまま10分ぐらいずっと焦っていたよ。すると、あそこのスクリーンから、黒ずくめの男が、『今から11人ほど来るから、しばらく待っとけ』と言ってきたんだ。そのまま、大体1時間ぐらいで12人きて、今、あのスクリーンから、情報が来るのを待ってる…っていうのを、11人ぐらいに説明したよ」


「…なんだか申し訳ないです」


僕がそんなことを言っていると、スクリーンから、エレさんの言ったような黒ずくめの男が出てきた。


『やあ!迷える12人の子羊たちよ!僕の名前はジグソー・ルート。このゲームの主催者さ!』


あたりがざわつき始める。


『そう!今から君たちにはゲームに参加してもらう!』


あたりがさらにざわついた。


『ゲームのルールを解説しよう!もちろん協力して脱出するなんてつまらないものではない!いや、そもそも協力なんてしてはいけない!なぜならお前らの中には『人狼』がいるからだ!』


あたりがますますざわつき、あるものは周りの者から距離を取る。


『その『人狼』っていうのは、このゲームの概要をすべて知っている、いわゆるスパイみたいなもんだ。そんな人狼がいる中で、お前らは約1年共同生活をしてもらう!」


部屋の中が絶叫で満たされる。


『人狼は共同生活をしている仲間を人狼以外の人間にばれないように殺す。人狼以外は人狼に警戒しつつ、普通に生活を行う。また、会議を自由に開くことができ、そこで人狼だと思われる人間を追放し、追放された奴は人狼だろうが人狼じゃなかろうが死ぬ。そんで、人狼以外は人狼を全員追放できれば勝ち。人狼は人狼以外を全員殺せば勝ち。何か質問あるか?』


すると、部屋にいた茶髪の少女が手を挙げた。


『じゃあそこの女。質問しろ。』


「えっと…そのゲームってその…死人が出るってことですよね…」


ほぼ泣き声になっている。


『あ?そうだけど?何当たり前のことを言ってるんだ?』


その答えが、皆の緊張感を一気に上げ、質問した少女はとうとう泣いてしまった。


「ふざけんな!こんなことが許されるはずがないだろ!」


『あ、もちろんここでは法律とかは一切気にしなくていいよ。人狼は好きに殺せばいいし、人狼以外も自由に追放していい。もちろんゲームが終わって捕まるとかもないし』


あたりの絶叫はまだ収まらない。


『それではさっそくゲームを開始するよ。共同生活する施設があるから、あそこに刺さってるマップを見て進んでね!それじゃ!よいGAMEを!』


北にあるゲートが開く。これを合図にし、この地獄のような長い長いGAMEが始まったのだった。

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人狼GAME  じんせいRTA @nue-1209

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