第27話
翌朝、寝苦しさに目が覚めた。
逃れようと寝返りをうっても纏わりつくそれ。異臭がした。
異臭?
「ん!?」
びく、と身体を揺らして目を見開くと、目下にはよく見る白から緑への変化とホース状のあれ。あれだ。
「ねぎ…!」
私は長ネギのマフラーをしていた。
「目ェ覚めたか」
勢いよく振り返ると、そこには泣き黒子麗しい自称・妖怪。スーツ姿にネクタイを締めていた。男性がネクタイを締める姿ってびっくりするくらい色気ムンムンなのね。知らなかった。
「てかいしゃ」
「おー。でもおまえは行かなくていい。残念だが干された」
「うそ…」
ウソ。と舌を出されて静止。
「38.1。俺に犯されかけて嬉しくて出す熱にしては気合入ってんな」
「熱、私? いつの間に測っ」
言い掛けると、男は目前まで歩み寄ってきた。そのまま顎を掴まれ、て。
「ンムッ」
くちづけ。
「いいか、絶対何処にも行くな」
「へ…ぁ」
突然の脈絡もへったくれもない出来事にぼうっと熱い頭で情けない声が漏れる。対しての男は飄々と、私を通り越して何故か隣に投げ棄ててあったジャケットを手に取っただけだった、
長い睫毛に見惚れ何故ジャケットがそこに在ったのか、その理由を考えるのを放棄してしまった。
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