第18話

「き、きのっ…う女に興味ないって」


背後から伸し掛かられ再び震えだす身体。目尻には涙が滲む。



「んー…?」



掠れた声は耳元で続く。いよいよ男性恐怖症になりそうだ。



「まぁーた震えてんのかおまえ。興味はなくても朝は勃つんだよビビリだな」



「タっ、だ、からって!変態!」


「あ?」



負けないぞと叫ぶと視界は一転し、仰向けになった私は鼻と鼻が触れそうな距離にいる男に手首を押さえつけられていた。



「その変態によがり狂うのはてめぇら女だけどな」




「……」



謎だ。



昨日からむごいことを言われ・され続けて慣れてしまったからなのか(現在進行形)美しく輝くこの妖怪の顔面の所為なのか、顔を見ると、安心して震えが止まった。



震えが止まる理由が後者ならば、容姿が美しいって最強かもしれない。



「んだよ」


「良い匂い…」



無意識に呟くと、一瞬見開いたように見えた眸を細められ「きも」と一言。



黙って見上げていると退いてくれた。

重かった。



かと思いきやベッドから降りて何所かへ向かった男。


間も無く聞こえてきたカチ、という音が換気扇をつけるそれだと気付いた私は全力でそこまで起き抜けダッシュ。



「禁煙ーー!!」


「ウルッセェ!!朝から選挙中みてーな音量発するな!!」


「朝から寝込みを襲う妖怪に言われたくありません!妖怪も選挙行くんですか!?」



「行くに決まってんだろ」




選挙に参加するらしい妖怪は吸わないでと懇願する私に煙を吹きかけ、泣いて咳き込む様子を見て高らかに笑い声を上げた。


妖怪というより悪魔ジャン?

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