暇だったので未解決事件を解決してみた

吹田俄

25歳ニート

 平成12年4月25日〇〇県〇〇市〇〇町にて遺体が複数が発見された。被害者は3名、恵谷慶子(26歳)、高橋璃子(25歳)、里見奈々(24歳)。25歳くらいの女性を狙った犯行で、同一犯の可能性が高いと推測された。遺体発見現場は雑木林の中で、ビニール袋に入った状態で発見された。遺体はバラバラに切断されておりビニール袋の中には三人分の遺体がごちゃ混ぜになって入っていた。



 俺は〇〇市に住む25歳ニートだ。名前は築井大介。2浪を経たのち東京の私立大学に入学した。怠惰な生活を送っていた俺は1留してしまったが何とか大学を卒業することが出来たはいいものの就職に失敗し、今は実家の家業を手伝っている。


 「起きろ大介!飯の時間だ」。父が起こしにきた。俺は今居候の身なので実家での肩身はとても狭い。実家で飼っている柴犬の喜助のほうが扱いが良いと思う。

「うぅ…、あーー気分悪い」「ふぅー」。この家で唯一ゆっくり出来るのはトイレくらいだ。柴犬の喜助は、かわいい見た目をしているが確実に俺を舐めている。

この間、頭を撫でようとしたら人間の様に不貞腐れた顔していた。

 「お前、これからどうすんだ。ずっとはここに居させないぞ」「分かってるよ、俺も別に好きでここに居るわけじゃないし」「じゃあ、早く出てけよ!」

「うるさいなぁ、分かってるって言ってんだろ」「お前親に向かってその口の利き方は何だ!」。これから俺どうしようと考えながら朝食を食べた。その後家に居てもまたガミガミ言われるので原付に乗り、街の方に出かけた。

 職のことについて考えるためにまず情報が必要だ。とりあえず本屋に向かった。〇〇市の駅前にはショッピングモールがある。俺が小さい頃は映画館もあった。本屋はモールの2階にあるので駅の北口から入らないといけない。

 北口からモールに入ろうとしたとき、警察が紙を配っていた。そういえば俺が小さい頃に殺人事件があって結構なニュースになっていたことを思い出した。幼い頃の記憶でニュースでは、犯人は被害者が全員女性であることから男性で、ビニール袋と中に入っていた新聞紙から〇〇市近郊に住んでいる可能性が高いとか何とか言っていた気がする。ここ〇〇市はとなりの***市に、とある大きな企業の工場が移転してきたことや市の政策が〇〇よりも良いということで県内及び周辺の県から大量に人が移住してきた。その影響で〇〇市は以前より人が少なくなり、映画館は***市のモールに移転し、駅の南口商店街(ニコニコ商店街)は閑古鳥が鳴いている状態だ。本屋があるこのモールもかろうじてやっていけているだけで、トイレは3個中2個使えない所があるし、食料品売り場の天井には今にも上の階の人が落ちてくるんじゃないかと思えるような亀裂が入っている。

 本屋に入り、職や資格についてのコーナーで自分に合ってそうな仕事を探した。1時間ほど色々な本や雑誌を見たが、今の自分に出来るような仕事はあまり見つからない。色々考え事をしながら1階フードコートの一昔前のラーメン屋の少し値上がりしたが、今でもお手頃なソフトクリームを食べる。味は昔と同んなじだ。小学生の頃友達のけいちゃんとかと今はないゲーセンで遊んだ後に、このソフトクリームをよく食べた。いい思い出だけど、一緒にソフトクリームを食べていたけいちゃんは京大を卒業し東京の大手企業に勤めているらしい。コーンを食べだした辺りから25歳にもなって、火曜の昼間にフードコートで120円のソフトクリームを食べている自分がとても惨めに思えてきた。「まじでこれからどうしよう」。考えるが何も思いつかない。動いたら軋む椅子から腰を上げて、食料品売り場を歩き周る。午前中なのに割引シールの貼ってある惣菜とか黒毛和牛のステーキ100gを見て周る。冷凍食品のコーナーを見ていると知らない女の人に顔を覗き込まれた。「やっぱりそうだ、築井ちゃんじゃん!覚えてる?あたし…山口。ほらっ中学のときの」「山口、山口…山、ああぁ山口。覚えてる、覚えてる…ひ、久しぶり!」。

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