第2話

 姉は雨に濡れた冷たい道路に横たわっていた。私はさしていた傘を放り投げて慌てて駆け寄り、体を抱き起こし、手を握る。雨が私を濡らしていくのを感じる。寒い。冷たい。今はそんなことは些事だった。

腹部から血が出て、白いブラウスを赤く染めている。それを見て、全てを察してしまう。

「お姉ちゃんっ!」

「あれ……?もう帰ったんじゃ……」

「待ってて、今救急車を……」

その言葉を静かに首を横に振り私を制する姉。。

「え……?」

「いいの。多分、間に合わないから……」


 体は少しずつ冷たくなっていっているように感じる。呼吸も心拍も弱々しくなる。理解したくない現実が私を待っているんだと感じた。その瞬間はまもなく訪れようとしている。

死んでしまうんだと、確信した。

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