桃から生まれた桃太郎が博識すぎる件について

朧月アーク

第1話 プロローグ―博識過ぎる桃太郎―

昔、昔、ある所に、お爺さんとお婆さんがいました。


毎日、お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。


ある日、お婆さんが川の側でせっせと洗濯をしていると、川上から大きな桃が一つ、


ドンブラコ~ドンブラコ~


と流れて来きました。


「おやおや、これは見事な桃だなぁ。お爺さんへのお土産に、うちへ持って帰りましょう」


お婆さんは、そう言いながら、腰を屈めて桃を取りました。


お婆さんはニコニコしながら、


「早くお爺さんと二人で分けて食べましょう」


と言って、桃を拾い上げて、洗濯物と一緒にたらいの中に入れて家へ帰えりました。


夕方になってやっと、お爺さんは山から大量の芝を背負って帰って来きました。


「おばあさん、今帰ったよ」


「おや、お爺さん、お帰りなさい。待っていましたよ。さあ、早くお上がんなさい。良い物を上げますから」


こう言いながら、お爺さんは草鞋わらじを脱ぎ、上に上がりました。


その間に、お婆さんは戸棚の中からさっきの桃を重そうに抱えて来て、


「ほら、ご覧なさい。この桃を」

 

「ほう、これはこれは。何処からこんな見事な桃を買って来たんじゃ?」


「買って来たんじゃないんですよ。今日川で拾って来たのです」


「川で拾って来たとは.....それは珍しいのう」


こうお爺さんは言いながら、桃を両手に乗せて、眺めていると、出し抜けに、桃はポンッと中から二つに割れて、


「実は桃は薔薇ばらの仲間なんです!」


ん???????


あっ、あれ??


台本と違うんですけど!?


えっと~この後のナレーションは……


勇ましい声で産声を上げながら、可愛らしい赤ちゃんが元気良く飛び出しました。


いやいやいや


え?


まぁ確かに勇ましい声の可愛らしい赤ちゃんだけど……


え?


産声は???


産声出さずに雑学みたいなこと言ってんだけど、この赤ちゃん


どゆこと!?


「「おやおや、まあ。」」


いやいや、ツッコめよ!!


爺さん婆さんそろいもそろって「おやおや、まあ」じゃねぇんだよ!!


まぁ、良いや(良くないけど!!)


この後の台本は……


お爺さんも、お婆さんも、びっくりして、二人一緒に声を立てました。


それ、何にびっくりしてんの!?


絶対、桃から子供が生まれたことにだよなぁ


物語の登場人物はこの物語の運命には逆らえないもんなぁ


……てことは、ツッコミは俺だけか!?


「まあまあ、私達が子供が一人欲しい、欲しいと言っていたから、きっと神様がこの子を授けて下ださったに違いない」


やべやべ、どんどんと話が進んで行ってる


台本読まなきゃ………


お爺さんも、お婆さんも、嬉しがって、こう言いました。


そこで慌ててお爺さんがお湯を沸かすやら、お婆さんがタオルを用意するやら、大騒ぎをして、赤ちゃんを抱き上げて、産湯うぶゆに浸からせました。


するといきなり、


「湯の温度は夏季で38℃、冬季で40℃ぐらいが基準とされており、新生児への負担を軽減するため、手早く済ませるのが一般的であります!」


おうおう、どしたどした??


ま~たコイツが暴れとるよ


「更に、産湯は英語でbirthバース bathバスと言うんです!面白いでしょ?」


birthバース bathバスて、何この子……もしやダジャレを言ってるのか??


いやいや、"ダジャレを言うのはだれじゃ"ってね


ハハハハハハハハ(渇いた笑い)


「おやおや、何という元気の良い子だろう」


いや、もうホントにツッコんでくれよ!


元気が良いよりまず、流暢りゅうちょうに喋る赤ちゃんの異常さに触れてくれよ!


こっちはもう疲れてんだよ……


まぁ、続き読むか


もうそろそろ区切りが来るし


お爺さんとお婆さんは、こう言って顔を見合わせながら、


「あっはっは」


と面白そうに笑いました。


そして桃の中から生まれた子だというので、この子に『桃太郎』という名を付けました。


フゥ、やっとゆったり休憩できる……


しっかし、なんなんだあの桃太郎は?


明らかに異端児だろ!


オカシイッテ…………


まぁ、今日はゆっくり休みますか


ちなみに『桃太郎』の元ネタは吉備津彦命きびつひこのみことによる温羅うら退治の伝説なんだよ!」


またお前か!!


♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


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コチラ、私が書いてる作品

「外れスキル『磁力ネオジム』持ちの俺は追放された後、覚醒する」です!!是非読んでください!!

https://kakuyomu.jp/works/16817330667976952233

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