第2話

昔。実家でまだあたしと飛鳥が二段ベットで寝てる位昔。



飛鳥がそんな事を呟いた。



「二人じゃなきゃいけなかった理由があんのかな?」



二段ベットの上から聞こえる飛鳥の声は擦れてて、今にも眠ってしまいそうに小さかった。



「卵子と精子がぁ、とか。お袋と親父がその日のうちに二回ヤッた、とか。俺はそういうのじゃなくて、もっとロマンチックな話しがしてぇの」



そんな飛鳥の話しに聞く耳も持たずに、あたしは那智から借りた100冊にも及ぶ少年漫画に読み更けていた。



散りはじめた桜の花びらが、今朝降った雨が濡らしたら窓ガラスにペッタリくっついていた。

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