Seeker
如月 月華
プロローグ
『君に…君たちに出会えてよかった。』
そう、悔いのないまっすぐな目でこちらを見る黎(れい)の姿がどうしても忘れることができなかった。
私たち【月影】が研究所から彼を救出した夜、冷たい月光に照らされた彼の顔は、安堵と不安が交差する複雑な表情を浮かべていた。
両親が【ファントム】に殺され愛情も、友情も何もかも知らなくて、出会ったばかりの頃は黎は敬語だった。
まるで、上からの命令に従順に従うロボットみたい。
改めて思う。
世の中は、不公平だ。
容姿、家柄、才能、全てが不公平に分け与えられている。
その中で私たちは望まぬ力を背負わされ、真実を駆り続けた。
力を持つということは、常にその力と対峙し、その代償を払い続けることを意味するのだ。
遠くで燃え盛る太陽も、空を渡る月も、夜にきらめく星も。
その光は終わりを知らぬように見えてその実、かつてどこかで燃え尽きた命の残像に過ぎない。
限りある時間の中で、私たちはもがき、出会いを知り、別れを知る。
それは、無限の宇宙の中でわずかな存在が光を放つように儚くも確かなものである。
彼らは運命に抗い、影を追い、消えゆく光の中に真実を求める。
そして気づくのだ_終わりがあるからこそ、刹那が尊く、命が輝くのだと。
これは、望まぬ力を持って生まれた、真実を探し求めるものたちの物語
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