第24話
どうしてこんなに佑真は悪く言われるんだろう?
他にも沢山知りたい事があるのに、あたしは何も聞けずにいた。
「…アイツら佑真の事、狗賓(ぐひん)だなんて。本当失礼だな」
沈黙の後、千秋が苦笑いながら煙草を銜えた。
『…狗賓って何?』
「天狗の一種で、狼の姿をしてて、犬の口を持つとされる伝説の生き物。……狼に成り切れてないって言いたいんだろうな」
香月さんは気を取り直したように車のエンジンをかける。
「…じゃ、気を取り直して。拉致再開するね」
『え?!家に帰してくれないんですか?!』
「はぁ?今夜は帰さねぇよ、紫季」
「だから人の車で女口説くなって」
クスクス笑いながら香月さんが車を発進させた。
『…っバ、バッカじゃないの千秋!』
ちょっと対応が遅れたあたしに
「顔赤くして。何期待してんだよ」
千秋が意地悪く微笑みかける。
…男に免疫ないんだよ!
なんせ処女ですし!
千秋に向かってベーッと舌を出したあたしは、窓の外の景色があのマンションに近付くにつれて心臓が高鳴っていく事に気付いていた。
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