王家の血を引く者

紫の季節

第1話

女子高生になったら、素敵な彼氏が出来るかな?



なんて淡い期待を描いてたけど、現実はそんなに甘くなくて。



むしろあたしは、男にガッツいてる友達をシラけた目で見ていた。



「皆よろしくねー!」



高校生になってはや三ヶ月。

あたしは友達に、毎日のように他高の男の子との合コンに連れて来られていた。



「王様だーれだ!」



必要以上に大きな声を出すあたしの向かいの席の男の子。

金髪で、肌が黒くて、

…うん。チャラそう。



「きゃはははは!」



そんな男の子たちに甲高い声で笑いかけるのは、あたしの友達。

友達だけど、知ってるのは顔と名前とメアドと男好きって事位。

所謂『上辺』ってやつなんだと思う。



あたしはコップに入ってたオレンジジュースを少しだけ口に含んだ。



「最近どうなの?」



そして

彼女たちと、彼女たちが連れて来る男の子たちは決まってこの言葉を出していた。



「GOLD WOLFの事か?アイツら余裕ぶっこいてるからな。近いうちにカチ込んでやるつもり」




"GOLD WOLF"




「え~?大丈夫なの?GOLD WOLFって最強とか言われてんじゃん」



甘ったるい声を出すあたしの友達を見た男の子たちは、目を合わせて不敵に笑みを浮かべた。



「たしかにアイツらには歴史があるけど。そのうち俺ら"極連"がぶっ潰す予定」



知らない言葉ばっかりの会話に飽きたあたしは、携帯で時間を確認した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る