第19話

その日家にケイを連れて帰って来て、一緒に穏やかな時間を過ごしていた。




甘えるように俺の膝の上に頭を乗せるケイは、昨日の事を許してくれているようだった。




『寝るなら風呂入れよ』




ウトウトしてるケイにそう言うと「うん」と小さな返事が聞こえた。




お揃いのシルバーチョーカーが電気に照らされてひかえめに輝いている。




『…なぁ、ケイ。』




俺はケイの髪を撫でながら、窓の外の月を見た。

美しい満月。

もし俺がオオカミ男だったなら今日は姿を変える日だ、なんてくだらない想像をしながら俺は続けた。




『…俺はお前が思ってる程、強くねぇ』




「………」




黙ってるケイに視線を下とすと、ケイは寝息を起てていた。




『あんだよ?!いつから寝てたんだよ?!』




そんな言葉もケイが寝てる今は独り言にしかならなくて、暫く起きそうにないケイをリビングに置いて、俺はシャワーを浴びに行った。




冷蔵庫から缶ビールを取り出しながらふとカレンダーが目に入る。




一枚めくると、五月のカレンダーが顔を出した。




…そういえば、ケイのメアドには自分の誕生日らしき数字が入ってる。

『0520』




ソファーで寝てるケイを見て思わず「ふっ」と笑いを漏らした。




『0520』の事を考えて、俺は用意している物があった。

ぞくに言う誕生日プレゼント。

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