第5話

「まーだ怒ってんの?」



練習が終って、皆でぞろぞろと非常階段を降りる。一番後ろをとぼとぼと歩いているあたしに振り返ったハル。


「…別に怒ってないもん」


「口尖らせて良く言うよ?」


「ふん」



セーターのほつれた糸を指で弄りながら、俯いてハルから視線をそらすあたし。



「だって皆が意地悪なんだもん」




こんな事言ったらバカにされそうだったけど、そう言わずにはいれなかった。



「お前が可愛いから皆いじめるんじゃん?」


「なぁにー?それ。小学生みたいな事言うんだね?」


「不思議だけど男ってそういう物なんだよね。ソフトクリーム買ってあげるから機嫌直せって」


「直った」



あたしがそう行ったらハルが笑ったから、あたしも笑ってしまった。

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