第4話
ナオの後ろにいるあたしの存在に気付いた龍のタトゥー男はあたしを見て口端を上げた。
「可愛いねぇ」
そう言ってあたしに延ばそうとした手を、ナオが払いのけた。
「触んじゃねぇよ。」
低い声で威嚇するナオの迫力にあたしまでビクついてしまう。
「こわいこわい。」
ナメたようにナオを見て笑う男。
「名前くらい言ったらどうだ。」
マサキが男を睨みつける。
「ナリタ。」
「……ナリタ?」
"ナリタ"という名字にナオとマサキが顔を見合わせた。
「へぇ。覚えてるんだ」
ナリタはおもむろにタトゥーの方の腕のジャージを腕の付け根の方まで捲くり上げた。
『――…っ』
付け根から肘の少し上にかけて、大きな古い傷痕が在った。
「ナリタハルキだな。」
「正解ー。」
袖を元に戻しながらそう高らかに声を上げたナリタは偉そうに足を広げてソファーに座った。
そんなナリタの両脇にはやっぱりスカジャンの男がいる。
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