第6話 隣の人


新しい季節が巡り

新たな顔ぶれと出会ったころ


いつの間にか

いつも近くにいてくれる人がいました


冗談を言ったりおどけてみたり

本心に触れずに気遣っていてくれていました


馴染むのを怖がったわたしを

何年かの時を越え

2度も包み込んでくれた人でした



きっともう会うことはないけれど


あなたがしあわせでいてくれること

わたしはいつも願っています



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*小春日和*



暗闇のなか深呼吸


整え向かう扉のむこう


着けなれた筈のマスカレード


毎日のことなのに

なぜか心が軋む


救われたいと願う一方で

救いなどないなんて思っていた


そんな日々を変えてくれた


あなたは



噂なんてまるでなかったように


障害なんて当たり前の個性のように


いつもやさしさで包み込んでくれた


小春日和のような人でした




踏み違えた階段


うまく昇りきれずひとり


まるで鵜の真似をしたからす


腫れ物をみる視線

逃れようと足掻いたら深水ふかみ


"特別"でいたいと望むくらい

偏りない"普通"に憧れていた


そんなあたしを見透かすように


あなたは



どんなときも隣にいてくれて


どんなあたしにも変わらない態度で


雑踏の空風から守っていてくれた


小春日和のような人でした



2024.11.7




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キヲクのカケラ noeru @noelucie

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