第4話 es


好きな色や好きなもの

やりたいことやなりたいかたち


楽しいことや嬉しいこと

しあわせだと思える心



そんなものひとつもなかった



だれかの見様見真似で

欲しがってみたり


望まれる感情をあらわしてみたり



両手で数え切る歳になるまで


この世の秩序や倫理も知れずに


無のなか手探りで歩んでいました



そして混沌とした世界が

クリアになっていく先で


残酷な現実と奥に燻る希望を知りました



********************




*Elpis*



感じない日々はとても退屈で


ただ在るだけのこの身は

過ぎ逝く季節を眺めるだけ


世界はとても平面で


声の音色も解らずに

言葉のまま倣っていた



いつからだろう


この世界に脅威を覚えたのは


に映る光景を美しいと感じたのは


逢いたいと想い馳せたのは



識ることを畏れないで


観ることを伏せないで


聴くことを塞がないで



どんな結末であろうとも

期待した今日が訪れなくても


その光を見失わずに


あるがままであれ


あるがままにあれ



2024.11.1




********************

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