006サーバー
第一章 栄光と現実
レイヴン
パーティ5体のキャラの総戦力をプレイヤー戦力という。この数値は各プレイヤーのプロフィールで確認できる。
サーバーの平均は2,000万。
サーバー戦力ランキングには上位20名が表示される。
1位 レイヴン 8,600万
2位 Mr.部長 8,150万
3位 メロりん 7,700万
4位 ユミル 7,400万
5位 北風マン 5,500万
6位 神ゴッド 4,900万
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と、上位4人が圧倒的である。
ちなみに4位のユミルはブラックタイガーのメンバーではない。
上位メンバーはギルドマスターではない。
マスターは戦力2,000万と平均的だ。
ソシャゲの重課金勢は身動きが取れなくなることを避けるためギルドマスターをやることは少ない。
今日も夜9時半を迎えて30分にわたるギルドバトルがはじまる。大きな城を守りつつ、四方向にある中規模の城を取りに行く。
撃破数に応じてデバフがかかるため1人だけで一つの城を落とすのは難しい。
また、城を独占させないための使用なのか、防衛側は初めから5%のデバフがかかった状態からはじまる。ユミルの所属するギルド、
「バカな奴らだな」
その進撃をレイヴンと数人で止め切る。
全戦力で返り討ちに合った狼頭必符は中規模の城を他のギルドに取られて、城なし状態になった。10時を迎えてギルドバトルは終了し、全体チャットは挨拶で賑わう。
「お疲れ様でした」
「ギルバトお疲れ様」
「お疲れ様でしたー」
「城なしだ(T ^ T)」
ギルドチャットも大盛り上がりだ。
「大城に中城3つだー!」
「レイヴン様とMr.部長様とメロりん様のおかげです!」
「マジ神!」
コメントを見てレイヴンは画面の向こうでほくそ笑む。
家賃の安い田舎のボロアパート、一枚の布団とスマホの充電器、あとはたくさんのゴミだけの部屋で1人、安酒を飲みながら迎えるこの時間が彼の生き甲斐だった。
「ふははは、俺はこの世界の神だ」
アルバイトで稼いだ金は家賃と光熱費とスマホ代、少しの飯代酒代を残し、全てこのゲームの課金に回す。
ポストにはクレジットカードの督促状が詰まっている。全てゲームの課金だ。
まだ20代半ばの彼には彼女はおろか友達もいない。
水泡に帰す最強伝説 teikao @teikao7857
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