第14話 爆速笠地蔵

 このままじゃ年を越せないじいさんが、町に笠を売りに行こうとした。途端に猛吹雪が始まった。

「ありゃ、これじゃ町までたどり着けんぞ……うぉっ!?」

呟きながら玄関先に出てきたじいさんは驚愕した。そこには、先達てまであるはずもなかった、7体の地蔵が佇んでいたのだ。

 吹雪の中、突如現れた7体の地蔵。不気味すぎる。祟りを恐れたじいさんは、どうせ町に出ることも難しいならばと、売ろうとした笠を地蔵に被せていった。

ところが笠は6枚しかない。仕方ないので一番端の地蔵には、自分のほっかむりを被せてあげた。

「これでどうにか、勘弁してくだせぇ」

じいさんは祈るように拝むように念じると、家の中に引き返した。すると家の中にはお餅や、金銀財宝が置かれていた。

「えぇ~?」

じいさんは再び玄関を飛び出す。吹雪が若干収まっていたものの、佇んでいたはずの地蔵の姿はすでにそこになく、遠くに鈴の音と、遠くにかすかに見える地蔵たちの去り行く姿、その最後尾の地蔵は、確かにじいさんのほっかむりを被っていた。

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