【短編】エミールとライアンの「なんでもお願い叶えます」〜万屋編〜

伊吹 ハナ

【プロローグ】



 ここは、私たちが住む世界とは少し別の『ワンダーランド』。鉛筆や消しゴム、学校だってあるし、電車や飛行機も変わらず存在する。違うのは、一部で魔法を扱える種族──ウィッチャーが存在しているということ。とはいえ、彼らは全体の四割なので一般的には魔法を扱わない種族──ノーマルに合わせて交通や建物は造られている。地球と同じように広い広い異世界の中、この本では『コスモス』と呼ばれる国に注目してみよう。


 ウィッチャーはノーマルよりも長生きみたいだ。最長で200歳と言われている。でもコスモスという国を作り上げた王様は五百年生きているらしい。とても魔力が強いウィッチャーなのだろう、と噂されているんだ。

 城の中から王様が外を見つめている。目線の先には、この国に住むウィッチャーのライアンと、彼が操縦する箒の後ろには、ノーマルのエミールが座っていた。王様は、なんだかこの二人が気になるらしい。


 エミールとライアンは万屋を営んでいる。人々の困ったこと……例えば。魔物退治、大人がいない間の子守り、ドラゴンのお世話などなど。依頼されたら、相手が子供だろうが老人だろうが、はたまた動物だろうが報酬を相談して仕事をしていく。もちろん罪を犯す内容のものは受け付けない。あくまで人々の困ったこと、頼りたいことを解決していくのが二人が経営する万屋のお仕事。

 王様が注目しているエミールとライアンのお仕事を少し覗いてみよう。


 

 エミールとライアンの「なんでもお願い叶えます!」のはじまりはじまり……。


 

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