第4話
「うん。私、守護神、スクティス様。テウス、褒めて。」
そういって、目を大きくして、僕の方をまっすぐ見つめてきた。何をしてほしいかは言動からしてなんとなくわかったが、僕は気恥ずかしさからわからないふりをした。
「テウス、早く。」
「なんのことだろう?」
そう適当に返したら、スクティスはムッとした表情で僕の胸のあたりに頭突して、その後、少し頭を擦り付けてきた。あの、まだ会って数分だよね?部屋の隅でアクラは、とっても居心地の悪そうにしていた。
「テウスー、大丈夫ー?」
やば、騒がしすぎて教会の人に怪しまれた。
「あー、大丈夫でーす!騒がしくしてすみませーん!」
僕はすぐに返した。そして、スクティスはムッとした表情は変えないまま、スススっと少し後ろに下がった。
「ヘタレテウス、外出よう?」
「テウス様!スキルももっと試してみたいでしょうし、私達も、そろそろ体動かさないと!」
アクラとスクティスに言われた。スクティスに至っては何やら聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がするが……まぁ、気にしないで置いとこう。
「たしかにそうだな。だけど、問題は教会から出るまでだな。まず、お前らをどう隠せばいいか、だな。あと、力試しとはいっても、魔物の森に入るためには、ランクカードが必要だし。」
ランクカードというのは、ギルドに所属した後、魔物の森に入ることや、武器店に入ること、武器を所持することなどを許可される免許証のような身分証明カードだ。つまり、まだ10歳のテウスは、ランクカードを取得するどころか、ギルドに所属することすらできない。
「え?あなたのスキルを使えばいいじゃないですか。」
「スキル?【スキル】で何ができるっていう……あっ!そういうことか!【追加】を使えば、新しいスキルを作成できる!教会の外に出れなくても、同じ環境を作ればいいじゃないか!じゃぁ、早速やるぞ!【スキル】!」
すると、前みたいに円状のボードが出てきた。テウスはその円の右側に刻まれているプラスマークを一度見て、言った。
「よし、あるな。【追加】!」
すると、途端にテウスは青白い光に包まれた。
僕が目を開けると、そこは水色の空間だった。というよりは、先程僕達がいた空間に、新しく別空間ができているようだった。そして、眼の前には、机と、本、実験器具みたいなもの、工具がたくさんおいてあった。すると、眼の前にメッセージウィンドウが現れた。
『
<【スキル】の派生スキル【追加】について、説明、チュートリアルを開始します。>
【追加】の能力は、スキルを新しく作成、また、既存のスキルを編集するスキルです。
そして、ここは、異空間【エディター】です。
【追加】を使用した際、この空間へと自動転送されます。
<<スキルの作成方法>>
スキルの作成方法は2パターンあります。
1つ目の方法は、作業机の上においてあるポーションを混ぜたり、工具を使用して、スキルを作成したり、ものにスキルを埋め込むというものです。
2つ目の方法は、作業机の上においてある魔導書を開き、その魔導書に対して、自分が欲しいスキルの名称、効果を唱えるというものです。
スキルを作成する際、そのスキルの規模、レベルによって、使用するポーション量は変化します。
どちらの方法でも、ポーションが切れてしまうと一時的に【追加】を使用することができなくなってしまいますが、時間経過により、ポーションの量を増加していきます。なお、ポーションの貯蓄量に上限はありません。なお、ポーションは【追加】する際、500ミリリットルで1ポイントとして変換されます。
』
あー、なんとなくわかった。とりあえずやってみるか。
テウスはそのまま作業机のところまで歩いた。そして、そのまま魔導書(?)を開いた。
『魔導書【スキル】を解禁しました。称号「魔導書【スキル】所有者」を付与します。』
「うぁっ!」
いきなりメッセージウィンドウが開き、情けない声を上げてしまった。
『作成するスキル名と、効果を言ってください。』
え?一瞬テウスは自分が何を作ろうとしていたか忘れていたが、すぐに思い出し、唱えた。
「えっと、スキル名は【空間作成】、効果は、自分が作りたい空間を作成する。」
『認識しました。【空間作成】を作成するには、200ポイントを消費します。作成しますか? Yes/No』
200ポイント、その価値がどんくらいかわからないから、とりあえず、"Yes"を押した。
すると突然、魔導書が青白い光を放ちだし、眼の前に、一つの野球ボールほどのサイズの球が浮いていた。エネルギーの塊みたいなものだった。あまりに美しすぎてその様子を眺めていた。すると、段々とその球がテウスの胸を貫通し、テウスの体の中へと入っていった。
そして、段々とテウスは体の中に"なにか別のもの"が入ってくるのを感じた。
『スキル【空間作成】を取得しました。』
そして、そんな声が脳内に響き、僕は教会孤児院の小部屋の中に戻っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます