蛇蝎

夢美瑠瑠

第1話



  「嫌う」という感情を、比喩で、表現した場合に最も強い言葉は「蛇蝎のごとくに」ではないか。まあ、グラデーションがあって、「ゲジゲジ」、「毛虫」というのもある。「ゴキブリ」も使う?「風上に置けない」や、「鼻つまみ者」といったりするが、これは「クサイ」こと。英語では「stinky」といったりする。これも臭いこと。「ムーミン」に、「ビトーン、ビトーン」といって跳ねている嫌われ者がいるが、このキャラも”スティンキー”という名前だな?


 蛇蝎、はヘビとサソリのことで、嫌う上に、「忌み嫌う」というニュアンスもこもる。少し危険な感じもあり、それで忌避したいし、怖くもあり、憎むのである。


 猫はヘビを見ると独特の反応をするのは知っている人は知っていて、「フーッ」と、”本能的に怒る”みたいな声を出して、威嚇する。

 「蛇蝎のごとく」嫌うという場合はまさにこういう、なんだか原初的プリミティヴなイメージであり、もう理屈とか感情を超えた?生理的な完全に異質で排除すべきだという判断が先に立つ存在に使う言葉だという、ボクの語感はそうです。


 映画の「エイリアン」のエイリアンは、まあ、制作者の意図としては、完全にこういうすごく気色が悪いし到底人間が受け入れられない外観で、異質すぎて、対話とかは成り立ちえないし、もう死に物狂いで闘って、食うか食われるか、一か八かの勝負をするしかない、そういう存在のエイリアンというコンセプトで造形したのだと思う。


 SFの中のエイリアンは千差万別で、必ずしもこういうバケモノばかりでない。

 「未知との遭遇」や「E.T」のかわいらしい?のもあるし、「幼年期の終わり」の中の天帝オーヴァーロードみたいに、外見は伝説の悪魔そのものなのだが、内面は救世主で、むしろ天使というのもある。


 精神寄生体、のもあるし、完全なヒューマノイドも多い。


 SFもそんな詳しくないが、認識力やイマジネーションを鍛えるというか訓練するというそういう役立て方はありうると思う。


 こういう、「~のように」と、比喩をする場合は、「直喩」という用法で、「~である」なら「暗喩」、「隠喩」になる。

 「あなたは大輪の薔薇のように美しい」なら直喩で、「あなたは闇に咲く妖しい月見草」なら隠喩。メタファーと言います。「隠喩としての建築」という柄谷行人さんの著書があるが、難解そうな哲学書だったっけ?


 「蛇蝎」みたいなマニアックな形容表現はいろいろあって、伝染病の流行具合は、まず「蔓延する」。もっと酷くなると⇒「猛威を振るう」。で、どうしようもなくなると「猖獗を極める」となる。この最上級がパンデミックという状態か。ボクはコロナが流行る前から”パンデミック”という言葉は既知でしたが…


 ハンサムの形容なら、美男、二枚目、男前、がノーマルなレベル。最近多いのがイケメン。ギャグで「イケメソ」とも言うらしい。眉目秀麗、は男女共有。伊達男、もある。「水も滴る色男」とかもよく言う表現。「匂い立つような」とも言うかな?「油壺から抜け出たよう」とも言う。


 こういうのは小説をいろいろたくさん読まないと遭遇しにくい表現が多いです。と思う。 最近は検索すると「類語」や「同義語」をわりかし網羅しているが、文脈と一緒に覚えるにはやっぱり有名な小説とかで覚えるのが正道で王道かと思います。


 ちなみにこの「王道」も二つ意味があって、「王者の行く、表街道」というようなニュアンスのほかに「裏道、抜け道、近道、捷径?」というような意味もあった。王様が配下だか家臣だかの謀反とかで逃げていくときに使う道から来ているのかもしれない?違うかw

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