大文字伝子が行く310
クライングフリーマン
自転車ワイヤー錠
======= この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。降格中だったが、再び副隊長になった。現在、産休中。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。
斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目房之助警視正・・・EITO東京本部副司令官。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
西部警部補・・・高速エリア署生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。早乙女愛と結婚した。
橋爪警部補・・・愛宕の相棒。丸髷書生活安全課の刑事だが、。通称『片づけ隊』を手伝うこともある。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山(江南)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
筒井隆昭警部・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
原田正三警部・・・元新宿風俗担当刑事。戦闘の記録及び隠しカメラ検索を担当。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
西部(早乙女)愛・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向だったが退職。EITO非正規隊員。
麻生島太郎・・・移民党副総裁。副総理。再選。
市橋早苗・・・移民党総裁。総理。
小野寺紀実子・・・内閣官房長官。
水谷美緒子・・・内閣務大臣。
梨村秋子・・・内閣総務大臣
井関権蔵・・・井関五郎の父。警視庁鑑識課課長。
井関智子・・・五郎の妹。鑑識課員。
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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
※前回(「こちら中津興信所43」までのお話。
女は、高崎達を駅員室に連れて行かせ、いつの間にか姿を消していた。
嵌められたのだ。
午後1時。山手線池袋駅。駅長室。
中津警部から久保田管理官を経て、高崎と泊は、潜入調査中だったことにして鉄道警察を開放された。
元警察官だけに、手続きは簡単だった。逃げた女は、『痴漢詐欺』の常習で、手配書も回っていたのだが、駅員は知らなかった。駅長室に手配写真があることを。
午後2時。EITO東京本部。司令室。
「やはり、残党が暗躍したか。」と、伝子は呟いた。
「大文字君。何故、そう思っていたのかね?」伝子は夏目警視正に尋ねられて、『夏目リサーチ』を侮っている訳じゃないんです。どうも、ダーティー・ブランチには、参謀的な人間がいるような気がするんです。」
「以前のような『大枝』かね。」「はい。」
「小谷が『玉砕』した時、見張ってたかも知れないのは、ダーティー・ブランチ自身というより、そういう存在と考えた方が賢明のような気がしてきたんです。」
「じゃあ、その大枝が、サンシャイン事件の時の動きから、EITOを見張ることにした。ただ、第三者を『盾』に用意するのを忘れなかった。痴漢詐欺常習の曙咲子が盾、か。」
「大文字君。新町と井関の診察と囮を組み合わせたのは、池上病院との関連も疑われている、と判断したのかね?」と、理事官は言った。
「医療ネットワークに関する講演にで、ガードが堅かったのを見て、勘づいたかも知れない、と思いました。」と、伝子は理事官に応えた。
「内緒で付き合っていたことを許す代わりだから、喜んで囮を引き受けてくれました。」
「うーむ。策士だなあ。」
アラームが鳴った。
渡がシステムをチェックした。
ダーティー・ブランチがSNSに投稿したら、そのタイミングが記録されることになっている。
Base Bookの挑戦状は、また妙なものだった。
「海より下の駅には、あかりはともるのかな?太郎くん。私は内角低めが得意なんだが。」
伝子は数秒考えていたが、すぐに、「なぎさは、新内閣の『小野寺紀実子』、『水谷美緒子』、『梨村秋子』の女性閣僚3人の護衛に急げ!!」と、なぎさに指示した。
「おねえさま、他の閣僚は?」「ほっといていい。市橋総理の側近だから、官房長官、外務大臣、総務大臣に任命された。媚び那珂国議員、親阿寒国議員は一掃した。そうですね、理事官。」
「うむ。その3名以外は『隠れ』か『中立』かどちらかだ。男性も女性も。」と、理事官は応えた。
「あつこ、結城、小坂、下條を連れて、あかりの捜索に当たれ。他の者はなぎさについて行け。」
なぎさ達が出ていくと、待っていたように、渡が「新町隊員と井関隊員のDDバッジは、『亀戸水神駅』で止まっています。」と先に応えた。
「葉月、越後は?」「麻生島邸のままです。」
「河野さん。葉月、越後と連絡取れますか?SP隊無線を、借りている筈ですが。」
「承知しました・・・出ました。スピーカーに出します。」
「越後。そちらはどうだ?副総裁はご無事か。」「はい。ご無事です。何か?」「いや、定時連絡だ。」
伝子は、河野に頷くと、SP隊無線を切った。
「あかりと五郎が拉致された。何故?また、サンシャインに行ったのか?」
その時、白バイ隊から通信が入った。白バイ隊は、男子も女子もあるのだが、いつの間にか、マスコミは、女子白バイ隊を白バイ隊、男子白バイ隊を男子白バイ隊と呼ぶようになり、一般に浸透してしまった。
「繋ぎます。」と、河野は、白バイ隊からの通信をスピーカーに出した。
田尾だった。「大文字隊長。高速5号線で乗り捨てられた乗用車から、メダルカッターとシューターが見つかりました。」
「田尾さん、シリアルナンバーを教えて下さい。」と、渡が言った。
パッと見は判らないが、EITOの武器には、『弾』以外はシリアルナンバーがある。
渡は、言われたシリアルナンバーで検索して、すぐに答を出した。
「新町隊員のものです、アンバサダー。」と、渡が応え、「アンバサダー。サンシャインではなく、方角から言って、井関家に向かう途中だったのでは?」と、草薙が言った。
「そうか。妊娠していないことを確認した後だった。私服で挨拶をしに行ったんだ。将来の姑さんに。」
「成程。煽り運転の報告があったばかりですから、煽り運転でクルマを止めて、拉致誘拐された、ということですか。」
「田尾さん。目撃車両を探して下さい。」「了解しました。」
高速を走る車には、定期的に運行している車もある。交通機動隊(白バイ隊)には、そういうデータが保管されている。時間帯から追尾するのだ。
伝子は、司令室設置の『自宅のPCリモートスイッチ』を押した。
画面に映った、高遠が驚いている。
「Base Bookの挑戦状なら見たよ。青木君の出番だね、Linenネットワークの。連絡する。『太郎くん』は、ジョークかもね、笑えないけど。」
「『亀戸水神駅』は東武亀戸線だったね。海抜より低い駅で有名だ。私も行ったことがある。既に捜査員を向かわせた。一体何をやりたいんだ、彼らは。」と、夏目警視正が言った。
「陽動にしては、手が混んでるなあ。」と言う原田に、伝子は「原田。正論だが、私の胸を見ながら言うなよ。」と、またイジメに走った。
1時間後。
「アンバサダー。あつこ警視から入電です。」と、河野が言い、マルチディスプレイに、あつこが映った。『スマホから』とテロップが画面下方に映っている。
「おねえさま。いないわ。これは見つかったけど。ここは、使われていない倉庫なの。」と、DDバッジが映った。
あつこは、「おねえさま。鑑識の到着を待つわ。私たちは、それまで駅員に事情を聞くわ。」
やはり、通信用機器の携帯は徹底させなければ、と理事官は言った。
私服の場合、非常用追跡ガラケー、イヤリング、コンパクトに見せかけたパルスオキシメータを持っていない者がいる。伝子の『お仕置き』が必要だ。
後は、白バイ隊と青木のLinenネットワークが頼りだ。
更に1時間後。即ち、午後4時。
マルチディスプレイに、井関権蔵が映った。あつこのスマホからだ。
「大文字君。課員が、こんなものを見付けたよ。ここじゃなく、トイレだ。女子トイレ。」井関が示したのは、自転車のワイヤー錠だった。
「浚われたのは、ウチの倅と、将来の嫁だけじゃないかも知れない。おい、智子。」
「新人課員の井関智子、五郎の妹です。この自転車ワイヤー錠、ダイヤル錠じゃないんです。だから、簡単に縛れて簡単に外せます。」
「詰まり、智子さんと権蔵さんの推理を重ねると、あかり達は、『先にいた人質』の為に捕まらざるを得なかった、ということになるな。あつこ。後は任せて、一旦帰還しろ。」
「了解しました。」
「大文字。やはり、我々を分散させた上でバトルを仕掛けてくるのかも知れないな。警視のチームだけで対応仕切れないぞ。」と、筒井は言った。
「夏目さん。」
「皆まで言うな。亀戸水神駅周辺の目撃情報と高速の目撃情報は、夏目リサーチに分析させる。」
―完―
※このエピソードは、「特命機関夏目リサーチ5」に続きます。
大文字伝子が行く310 クライングフリーマン @dansan01
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