第37話
【ゴルゴタの監獄・地下処刑場】
昇降機に乗ってから、どれほどの深みへと潜ったろうか。
大型歯車の駆動音はとうの昔に聞こえなくなっている。地層は石の層を抜けて、粘土の層をも抜けて、現在は貴方がこれまでに見たこともない艶やかな岩盤の層へと至っている。
地上に位置する処刑塔と貴方の乗る昇降機とを繋ぐものは、数本から撚られて成っている、丈夫な金属質の縄のみである。
しかし、余程に深く潜っているのだろう。
昇降機を支える縄は硬質で甲高い悲鳴の声音を、貴方の頭上からしきりに上げている。とはいえ、断裂を思わせる致命の音色を少しも響かせていない辺り、相当に丈夫な素材で出来ていることを窺わせる。
獄長の言葉を借りるのであれば、これもまた、地上に並び立っている監獄の塔と同様、神々がこの世界に顕現していたとされるほどの旧き時代より遺された、
地上にはゴルゴタの監獄と同様、神々の残した遺失技術が幾つも発掘されているという。東大陸の半分を分断するように建てられている長城、神の一人を模したとされる女神像、現存する兵器では掠り傷一つ与えられぬ広大な地下空間、海上にて不沈を誇っている古代遺跡など、いずれも現代の技術では再現不能であり、神々の過ごした旧き時代は相当の隆盛を誇っていたのだろうと推察されている。
しかし同時に、そうした技術の多くは失われてしまっている。
教会の抱える研究者たちは上記に関し、今も頭を悩ませているという。
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