第198話

「泣くなよな

俺らが泣かしたみたいじゃん」


「俺らじゃねーだろ」

「ハヤトだけな」

「ハヤトが泣かしたー」


「·····」


「怒んないでよ

趣味わるいとか思ってないもん


あんなこといって·····ごめんなさいっ」


涙を拭おうと顔に手をやると

キズに触って頬が痛い


私今ぜったいぶすだ


絆創膏貼ってる顔に

泣き面なんて



「謝ってんじゃん

·····さっき謝んないとかいってさー」



「あっ·····グズッ」

そうだった·····

謝るつもりなんてなかったのに


むしろ、謝って欲しいのに



ハヤトくんは私の前に立ち


「ひどい顔·····」


手を伸ばしてやさしく涙を拭ってくれた


「泣かせてごめんな、ははっ」


「あ·····わらっ·····た」


見たかったのはその笑顔


ハヤトくんの笑った顔


太陽のような


「泣きすぎだっつの」


「な、涙····とまんなくて·····」


「·····笑えって、ほら」


ハヤトくんが笑ってくれたら

もう全部どうでも良くなって


つられてわらっちゃうんだよ


「「…ははっ」」






ランカの後ろの方では


「どうなるかと思ったら」

「意外といい雰囲気じゃんね」

「よかったね、ランラン」

「え、これでよかったの?いーの?ねーいーの?」


ーー



···

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