第182話

「っ」

突然きこえた私の名前を呼ぶその声に体が固まる


ゆっくりと振り向いて声の人物を見上げた


「·····なんで·····ここに」


さっきまで視聴覚室にいたくせに、なんでここにいるの。なんでくるの


私の腕を掴んで離さないのはハヤトくんだった


「女の喧嘩とか見てらんねぇよ」


「は、はなしてっ」


掴まれた手を振りほどいてハヤトくんを睨んだ


「「·····」」



「すげー迫力、ははっ」

「はいはい、ギャラリーは帰んなよー」

「女の喧嘩か·····」

「ははっみんな怪我してるー」

「見てらんね」


ハヤトくんを皮切りにタクトたちも間に割って入ってきた


驚いたのは私だけじゃない

ここに居るみんながまさかの登場人物に驚きを隠せない


「は、ハヤトくん·····こ、これは」


腐ったミカンもまさかここに来るとは思わなかったのだろう。乱れた制服を正しながらアタフタしてる



ハヤトくんは腐ったミカンの前にむかって

「·····やられちゃったねーいたくない?」

「だ、大丈夫だよ、これくらい」


「っ」


腐ったミカンの心配か

私の方がなぐられてるのになんで


話してる2人をみてたら涙がでてきた



「っ·····ほんとやだ」


名前を呼ばれてうれしくて、涙がとまらないんだ

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