「…こんなことなるなんて、わかりませんよ。そのせいでオヤジは」


「組長となり跡取りとしてヒュウガミズキを選んだ。そしてスイは捨てられた」


「…お嬢にとったらそれは悪いことじゃない。それにあの人は別に悪い人でも」


「はっ…しらばっくれんなよ。言えよ

俺がヒュウガミズキだってな」


え…?


「ヒュウガミズキに戻れてうれしいか?わん公」


「…ダンナは悪い人だ…知ってて知らないふりをする…俺たちを呼んだのは、俺とこの話をするため…でしょう?」


「本当かどうか知りたかったんだよ。お前が本当にヒュウガミズキなのかどうか」


「回りくどいことを…別に隠すつもりはありませんよ。言ってくれればすぐに」


(ランカ、なにやっ)

(シー!ハヤトくん静かに!!)


ハヤトくんが水を持って私を追いかけて…優しい…そ、そんなことよりも2人の話を…


ハヤトくんも不思議そうに聞き耳を立てた



「スイはこれからどうなる」


「…卒業までは面倒をみると言ってますが、まぁ、どうなるかどうか」


「ずいぶん他人事だな。お前にとっての主人だろ。跡取りに選ばれてもうどうでもいいってか?」


「別に。俺は、はやくでていってほしい…そう思ってますから」


え…ユウジンがなんで


スイレンを追い出したいの?なんで?



「……ハイネが言っていた。お前だけはなにを考えてるかわからないってな」


「心外っすね…俺は安眠のために…毎日寝れることだけを思ってますよ」


安眠って…そんなことどうだっていいでしょ



「それが…お前の欲か…?」


「欲…すきですね。欲なんてありませんよ

寝れればいいなんて…欲じゃあない」


「はっ…お前のその内に溜まってる欲を吐き出せたとき、俺が助けてやってもいいぞ。スイのことも俺が」

「ダンナ、頼みますからなにもしないでください。このことだけは誰にも…首を突っ込まないでいただきたい」


どうしてキョウヤさんの協力を拒むのか

頼めばキョウヤさんならスイレンのことだって絶対に


「お嬢にこの話はしないでくださいね。暴れ鬼になって大変なんす」


話は終わったらしく、ユウジンがこっちへくる


ヤバい…そうハヤトくんと目を合わせた瞬間



「…聞いてたんですね」


ユウジンに気づかれてしまった



「あは、は…」

「わり。ユウジン。誰にも言わないから」


ユウジンはいつも眠そう。あくびをして、だるそうで…スイレンのそばにいた


だからこそ、今のユウジンは初めて見る


まっすぐに見つめる先に誰を見てるのか

見てるようで見ていない


強く見つめる三白眼の瞳が、怖いと思う


私の考えを見られているようで、心臓を握り潰されてそう



そんなユウジンは表情を変えることなく



「俺は、そのうち学校に行かなくなります」


「…それは、お家のせい?」


「…だから、お嬢とー…」









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