白百合の君

@shra__i

ただ虚しく

あなたに触れて、命を感じる。

あなたに触れて、幸福を感じる。

あなたに触れて、悲しみを感じる。

あなたに触れて、あなたに、あなたに。


私、あなたがいいの。けれど、去ってしまう。あなたの鼓動は聞こえなくなって、呼吸もしなくなってしまった。話したいこと、まだ沢山あったのに。

冷たくなっていくあなたの手と私の手を絡ませて、あなたの横に寝転ぶと、とても綺麗な鼻筋が見える。あの時見たつり上がった口角はもう上がることは無い。その黒真珠のような瞳も見ることはできない。ごめんなさい。あなたが愛するのは私じゃないのに、あなたの最期を私が奪ってしまった。

わたしね、ずっと好きだったの。窓から見えたあなたの長い髪や手があまりにも輝いていたものだから。白く純粋な百合のようなあなたを穢したくはなかったのに、届かないはずの手を伸ばしてしまった。今こうしてそばにいると余計に苦しくなる。その感情を紛らわすようにわたしは、冷たいあなたに口付けた。

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