白百合の君
@shra__i
ただ虚しく
あなたに触れて、命を感じる。
あなたに触れて、幸福を感じる。
あなたに触れて、悲しみを感じる。
あなたに触れて、あなたに、あなたに。
私、あなたがいいの。けれど、去ってしまう。あなたの鼓動は聞こえなくなって、呼吸もしなくなってしまった。話したいこと、まだ沢山あったのに。
冷たくなっていくあなたの手と私の手を絡ませて、あなたの横に寝転ぶと、とても綺麗な鼻筋が見える。あの時見たつり上がった口角はもう上がることは無い。その黒真珠のような瞳も見ることはできない。ごめんなさい。あなたが愛するのは私じゃないのに、あなたの最期を私が奪ってしまった。
わたしね、ずっと好きだったの。窓から見えたあなたの長い髪や手があまりにも輝いていたものだから。白く純粋な百合のようなあなたを穢したくはなかったのに、届かないはずの手を伸ばしてしまった。今こうしてそばにいると余計に苦しくなる。その感情を紛らわすようにわたしは、冷たいあなたに口付けた。
白百合の君 @shra__i
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます