第12話

「海吏は明日何するの?」


「俺は家でゲーム三昧っすねー。」


「先月も同じこと言ってなかったっけ?」


「言ってましたね。まあ俺のオフはそれ一択なんで。」


「確かに海吏とプライベートで遊んだことないかも。」


「先輩と後輩って元々あんま遊ばんでしょ。」


「そうかな?俺は何回か遊んだよ。」


「!?マジっすか!?」



つい驚いて変な声を出してしまった。


隼先輩が、後輩と遊んでたなんて意外すぎて。


常にあの4人衆で遊んでるとばかり思っていたから……



「ねえ俺、海吏と遊んでみたいんだけど。」


「はぁ……?」



俺の驚きに追い打ちをかけるように、隼先輩はまたおかしなことを言ってきた。


思わず先輩に向かって「はぁ?」と言ってしまったが、隼先輩はそんなこと気にもしないようにニコニコしている。


「海吏が嫌じゃなかったらさ。今度一緒に遊ぼうよ。」


「ええ?」


「普段は海吏とゆっくり話す時間、あんまりないから……。でも、海吏と色々話してみたいんだよね。だめかな?」


「いや…」



ダメとか俺が言う権利もないのは分かってるけど。


頭がついていかない。



何言ってんだこの人は……



「……俺と話したって、別につまんないっすよ。」


「そうかな?俺はそんな風に感じたことないよ。」


「長い時間一緒にいると分かりますよ。」


「じゃあ長い時間一緒にいてみようよ。」


「趣味もないし特技もないし興味あるもの少ないし……俺と過ごしても何も生まれないですよ。」


「生まれなくてもいいの!海吏がどんな人なのか、知りたいんだよ。……嫌だった?」


「……っ」


何なんだ、この人は…。


調子が狂うな。


ボランティアか?慈善活動か?


俺なんかに興味持ってるのも、

『陽キャから見た陰キャの生態』みたいなテーマで研究してるからか?


生まれてこの方言われたこともない言葉に戸惑っていると、部室棟から瑠千亜が歩いてきた。

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