いや〜、やられました。本当に、掌の上で転がされた感じですね。読後感が清涼なのは作家さんの持ち味なのかな。適当な言葉じゃないかもですが、一言。「気持ちよく、騙されました。」楽しい時間を、有難う御座いました。

はじめまして！

思春期の繊細な感情が、雨虹さんの書かれた流麗な文章から胸の奥底へとなだれ込んでくるようでした…！

SNSや学校というコミュニティの中を、嫉妬や妬みというドロドロとした感情が少しずつ満たしていくのに、でもどこか清涼な空気も流れていて高校生ならではの瑞々しさもあって。

語彙力が少なくて今の自分の感情をうまく言葉に出来ないことが凄くもどかしいのですが、とにかく素晴らしい作品でした…！ラストの展開も圧巻です。

ほんとに素敵な作品を読ませて頂きありがとうございます…！

語り手が自分のドロドロとした心を認めながら話が展開するというところがまず斬新でした。
咲ちゃんの独白で終わるラストがいいですね。柔らかな気持ちで読み終える事ができました。

　この作品、カクヨムコン10受賞すると思います。いや、してほしいです。応募開始日早々になにを言ってるのか、わからないと思いますが、過去3年出場してる私から見ても、凄まじい作品だったと感じています。
　とにかく今作は設定が面白く、紹介文の時点でこころを掴まれる感覚がありました。3人版すれ違いコント（といっても中身は現代ドラマ）を見ているようで、緻密に作られたトライアングルの渦にのまれていくような、読書体験でした。
　健人に失恋した自分が大切な真子、咲への恋心が異常に膨らむ健人。なにか守りたいものができたとき、人は誰かの敵になってしまう。私はそれが優しさの本質な気もしていて、ただ使い方を誤ると、凶器にもなってしまうのだと、この小説から学びました。みんなが他人を傷つけなくて済むほどに、報われて、満たされていたらいいのに、と終始感じました。
　また個人的に雨虹さんの強みは、観察力にあると思っています。日常に溢れている奇跡を、見逃さない力がある作家だと。今作でも放送室の機械の匂いや、授業が自習になった時の会話、SNS特有の閉塞感等、繊細な視点が注がれた描写があり、それがこの作品の輪郭を鮮明にしているように思います。
　三角形の最後を救うのが「咲は悪くないよ」という、偽りの励ましの言葉で、捉えようのない不思議な気持ちになりました。心は人に見えなくて、だからこそ言葉に重みが生まれる。物を書いている私としても、考えさせられるラストでした。
　事前に伝えられてた通り、新たな一面を見せつつ、雨虹さんの良い部分は殺さない良作だったと思います。ありがとうございました。