第2話 谷牧の態度

 バスケ部の活動が中断。


 谷牧は帰ろうとするバスケ部員たちを罵倒する。


「帰っていいなんて言ってないぞ! ミスなくできるまで続けろ!」


 谷牧が怒り狂って、暴行をした理由。


 それはパス練習をしていたとき、木野拓人きのたくとから中山ディーノス快なかやまでいーのすかいへのパスが通らなかったから。


 コミュニケーションがとれていないと言われれば、それまでだが。


 パスミスは試合中は意外と多い。


 スピードにも乗っている。


 絶対にミスはないということはないのだ。


 また、谷牧が拓斗と快に手を出そうとしたとき、バドミントン部の女子が校長先生を呼んできた。


「谷牧先生、暴力はダメです。厳重注意しましたよね」


 校長先生の言葉にその場にいた部員全員が、愕然とした。


「何、言ってんだよ! 校長先生!!」


 樹はカチンときた。こんな簡単な注意で、谷牧が直ると思っているのか、校長先生は。心の中で叫ぶ。


「校長先生の前では良い顔てるんだから、校長先生にはわからないですよね」


 慧が冷静に答えるが、明らかに校長先生を睨みつける。


「これも愛情表現ですから。暴力なんてしてないですよ。さぁ、部活しましょう」


 谷牧は笑顔を見せ、優しい口調で言った。大騒動にならないように早くこの件を終わりにしたいという意図が見え見えだ。


「とりあえず、君たちは帰りなさい」


  校長先生に言われるままに、バスケ部は帰宅する。


 樹は拓斗と快の肩を叩き、その場を後にした。


「大丈夫か? とりあえず行こう」


 樹はため息をつく。


「純粋にバスケがしたいだけなのに、あいつがきてから台無しだ」


 ため息をつくと同時に、慧が申し訳なさそうに言った。


「慧のせいじゃないだろ」


 樹は慧に優しく言った。


 慧はバスケ部をどうにかしようと頑張ってくれている。


「何もできないからさ」


 慧が落ち込んでいる中、谷牧の怒鳴り声が聞こえてくる。


 校長先生にも暴力しそうな勢いだ。


「俺は何も悪くないだろ! 今の子供ガキは、こうでもしないと言うこと聞かないだろ! だから教育の一環だ!」


 谷牧の言葉に校長先生は、苦笑いしながら頷く。


「話は校長室で聞くから」


谷牧は校長先生に宥められて、校長室へと行くことになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る