戦場を生きる少女 ただ一つの目的を叶えるために。ただそれだけのために
ヒロ
第1話 プロローグ①
ドォーン!!ドォーン!!
周りに響く轟音。それに伴う爆発。
こんなのにも、もう慣れた。
だってここは戦場。そんなものが当たり前な場所。
『…出撃命令は…、そろそろかな…。小競り合いも、そろそろ終わりそう』
コクピットの中で、今行われている戦いを見て、わたしはそう思った。
そこでは戦車と戦車が戦っている。ずっと昔なら、それが普通だろう。
だけど今は違う。あんなのは小競り合い。時間稼ぎ。だってもう、戦車やらが戦争の主役だった時代じゃないんだから。今は
『なのに、そんなのが戦ってる。さっさとこっちに出番を渡しなさいよ』
そう思っていると。
『聞こえるか。各機。そろそろ出撃だ。準備はいいか』
指揮官からの通信が届いた。ようやくか。何やってるんだか。
『了解。いつでも行けます』
隊長が、指揮官にそう伝えてきた。お決まりの台詞。いつからだろう。そんな風に思うようになったのは。
『上坂』
「はい」
隊長からの通信に、わたしはそう答えた
この後、何を言われるのかも、もう想像がついている。これもいつからだろう
『単独行動は慎め。いいな』
やっぱりね。そう言って来ると思った
「了解」
わたしは、そう答えた。とりあえずっていう感じで。
本当にいつからだろう。こんなのを言われて、とりあえずこう答える。そんなのを繰り返すようになったのは。
『まぁいい。そんなのどうでもいい』
そして。
グイーンッ
わたしたちが乗っている機体を積んでいるコンテナが、上に競り上がっていく音が聞こえる。
実際そうだ。そんなのコクピットの振動で分かる。音なんか聞こえなくたって。
わたしは、コクピットのスイッチを押して、メインカメラに切り替えた。今までのはドローンが写してた映像を見てただけ。ここからは違う。自分の乗る機体のカメラで戦場を見ることになる。第一、戦闘が始まったら、ドローンからの映像なんて邪魔になるだけだし
すると。
ドンッ
横にいる機体が、先に地面に立った。あれは隊長機。そしてわたしを含めた他の機体も、地面に立った。
『出撃する。各機。付いてこい!!』
『了解!!』
「…了解…」
他の隊員たちとは違って、わたしは素っ気ない声で返事した
そしてわたしたちは、隊長機に付いていく形で出撃した
わたしたちが乗っている機体は戦車じゃない。戦闘機でもない。それとは全く別物の機体。
そしてそれこそが、この時代における戦場の主役
人型兵器。
HumanWeaponMachine。
通称HWM。
そしてわたしの名前は、上坂瑞穂。
日本人。十八歳。
でもわたしにとって、そんなのはどうでもいい。
わたしは兵士として、このHWMのパイロットとして、戦場を戦っている。
ただ一つの目的を叶える
ただそれだけのために
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