第11話 試練 前半

 待ちに待った朝だ。今日で俺が外に出れるかが決まる。


 俺は身支度を整える。俺が身支度を始める時には既に父は準備を終えていた。

 つまりそれだけ気を張って戦わないと勝てないというわけだろう。


 歯磨き、魔法のシュミレーション、よし、準備は出来た。

 俺は緊張しつつ、父を呼ぶ。


 『父さん、行こう。』


 無言で父は俺の後ろに来た。後は俺に任せるという事だろうか。

 俺は玄関の扉を開けた。


 その時の感覚はいつもとは感じ方が違った。いつもは清々しい気持ちになる。だが今日は外に出ただけで緊張感が増したのだ。


 そうして俺は森の方向に歩き始めた。


 歩いている途中、父は一言だけ喋った。


 「ちなみに言っておくが、お前が思っているよりも奴は遥かに強いだろう。」


 だがその一言以来、父は喋らなくなってしまった。

 

 森に近づくに連れて俺の心は締め付けられるようにキツくなっていった。

 


 『着いた。』

 俺は森に着き、覚悟を決めて中に入る。


 一昨日のトラウマが俺の脳裏をよぎる。

 ゾンビに殺されそうになるあの恐怖だ。


 俺は(昼だから大丈夫、大丈夫。)と心に言い聞かせながら歩く。

 そうして森林をゆっくりと歩く。


 まだ心の準備ができていないその時、時はやってきてしまった。


 「人の匂いがする...」


 『森林の騎士だ。』


 「人の声がする...」


 俺の声を聞いて騎士は方向を変えた。

 そうして俺の目をただ見つめる。


 「お前は...敵か?」

 『お前を殺しに来た立派な敵さ。』


 俺が返答をした瞬間に騎士は二本の足で地面を蹴り、飛びかかってきた。

 俺との距離が近づくと騎士は剣を降る。

 

 急な戦闘に俺は反応できず、少しは避けられたものの、肩に傷についた。


 『次は俺の番だ、喰らe...』


 騎士は俺のターンを無視して容赦なく斬りつけ斬りつけてきた。


 『ガード!』


 カンっ!

 今回は前回とは違い、防御魔法で攻撃から身を守ることに成功した。


 『雷落ちろ!』


 ゴロォォォーーーーーン!


 あっちが攻撃してくるなら俺も攻撃をさせなければ良いだけだ。所詮相手は剣、魔法よりはるかに弱い。


 だが一つ問題があるとすれば、あいつの素早さだ。俺も魔法だから一瞬で放つことができるものの、あいつはそれを凌ぐほどの素早さを持っているのだ。


 その素早さのせいで俺の魔法が避けられた。


 こんな考え事をしている間にも攻撃を続行してくる。


 シュンシュンシュンシュン!


 今回は四回も斬ってきた。

 やはり速い、四回斬るのに多分1秒もかかっていない。


 さあ、ここからどうしようか...


       ーーー続くーーー

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