第10話 外出禁止令
それから俺は父と帰り、現在説教中である。
「おい、自分がどれだけ危ないことをしたのか分かっているのか?後少しでも俺が遅れていたらお前は死んでいたんだぞ。」
『ごめんなさい。』
俺は反抗しなかった。だって本当に俺にしか非がないからだ。門限を破り、勝手に森に入って死にかけ。誰がどう見ても俺が悪い。
そ
そうして父の話を聞きながら考え事をしているとある一つの言葉が俺の頭に引っかかった。
「今日から当分外出禁止だ。」
『はい。』
ん?え?
俺は一瞬戸惑った。思わず返事をしてしまった。外出禁止になんかなったらまたあの赤ん坊時代と同じくらい窮屈になる。
『あ、いや、外出禁止だけは...』
その言葉に父は不満を抱き、俺を睨みつける。
「男に二言はない。」
そういって父は寝室の扉を開けた。
俺も寝室へ向かい、寝る支度をする。
着替え、歯磨き、全てをこなし、俺はベッドに横になる。
もうその頃には父は爆睡していた。
そりゃあ爆睡するだろう。
父は俺を探した後、説教までして、朝になりかけるまで俺に尽くしてくれたのだから。
もちろん俺もその間眠っていないため、とんでもない睡魔に襲われて横になった途端半自動的に寝てしまった。
ん、もう朝か。
いつもならゴブリン討伐に出かけるため、ウキウキな朝だが、外に出れないとなると話は別だ。
まるで振り出しに戻った様だ。
さあ、何をしようか。
本はもう読み終えた。魔法も外に出れなきゃ打てない...
ん?魔法か。
そうだ、これまでには攻撃用魔法しか使ってこなかったが、家で使えるような実用的な魔法なら放てるのでは無いだろうか。
例えば...(クリーン!)
キュッ!キュッ!
一瞬にして俺の周りの床、壁、天井がピカピカになった。
『おお、すげぇ。』
間違えて声を出してしまった。
「何がすごいのー?」
母に聞かれていた様だ。
『いや、何でもないよ。』
「あら!すごーい!」
既に母は俺の目の前にいて、その綺麗な光景に見惚れていた。
「ロイド、この力を使って家を掃除してくれない?」
うげぇ、なんとも面倒臭い事を頼まれてしまった。
いやでもこれはある意味チャンスかもしれない。ここで母のことを自主的に手伝う姿勢を見せれば父も外出を許可をしてくれるかもしれない。
『分かった。』
俺は母の願いを了承した。
それから俺は家の隅々からテーブルや椅子まで、不完全とは言えないほどに家を掃除した。
「ありがとう!これで家事が減ったわ!」
はぁ、疲れた、後は父の帰りを待ち、様子を見てみよう。
俺は洗濯魔法から乾燥魔法まで、家事で使えそうな魔法を全て使ってみた。
そんなことをしながら父の帰りを待っていると。
「ただいま。」
父が帰ってきた。
俺は母が俺の功績を父に報告するのを待つ。
「そうそう、ロイドが今日の昼、家事を沢山手伝ってくれたのよ!」
来た。今日1日この出来事を待っていた。
「おおロイド!偉いじゃないか。」
そういって父はまた母との会話を続ける。
俺は絶望した。何故なら外出許可を与えられなかったからだ。こうなったら直接父にお願いしてみるしかないだろう。
『父さん、ちょっと話がしたいんだけど...良い?』
「分かった。」
そういうと父は表情がいきなり変わり、俺の言いたい事を察したかのように椅子に座る。
『あの、その、あれだけ家事を頑張ったんだし、外出許可をくれないかなって。』
「どうせそんなことだろうと思った。」
「そんなに外に出たいのなら俺に外に出ても絶対に死なないと示してみろ。」
『た、例えば?』
「そうだな、例えばあの森のモンスターだ。あの森には昼にだけ現れるとあるモンスターがいてな、そいつを俺の前で倒して見せれば十分だろう。」
『ちなみに、そのモンスターって?』
「森林の騎士だ。」
森林の騎士、名前からして強そうだ。
それに試練として与えられるモンスター、弱いはずがない。
『分かった。明日の休日、そいつを倒しに行く。』
俺は父の休日である明日にその騎士とやらを倒すことにした。
そうと決まれば今日は明日に備えてきちんと睡眠を取ることにしよう。
『おやすみなさい。』
そうして俺はベッドに横になり、深く眠りについた。
ーーー続くーーー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます