第7話 黒と白と赤と青
本日も快晴。
ラガンは訓練所へと赴いている。
「今日はてめぇを潰すために新たな魔法を考えてきたんだよ」
「奇遇ですね。私もです」
「シンプルイズベストだ!闇ビーム!」
「腹ただしい程良い考えですね。光ビーム!」
訂正、今日の天気は闇のち光であったようだ。
対消滅する二つのビームが臨界点を超え、爆発を引き起こす。
吹き飛ばされながらラガンは何をしに来たんだ俺は?と自問自答する。
「否!今日こそは団長としての立場を分からせるために来たのだ」
カッと目を見開き、かつてないほどに猛るラガン。
「来い!【グレートダンチョー】!」
瞬間、何処からか飛んできた鎧がひとりでにラガンの体に装着されていく。
全身フルアーマーとなったラガンは高らかに声を上げる。
「フハハハハハ!ブラックハート!ホワイトルビー!お前たちにもいい加減お灸をすえようと思っていたところだ」
「ハカセに頼んで作って貰ったこのグレートダンチョーの力!試させてもらうぞ!」
いつもと様子の違うラガンに二人は困惑する。
「どうしたんだアレ?」
「わかりません」
その時念話が飛んでくる。
『あ〜、聞こえるか。団長は現在、徹夜明けにその鎧を渡され、テンションがハイになっている状態だ。少し相手をしてやってくれ』
「だってよ」
「仕方ありませんね。団長を止めましょう」
「俺はもはや団長ではない、【グレート・ラガン・ダンチョー】だ!」
嘆息する二人に向け、ラガン改め、グレート・ラガン・ダンチョーが突撃する。
凄まじい速度で突っ込んできたグレート・ラガン・ダンチョーを二人は軽やかに避ける。
地面とぶつかった衝撃で大きく土煙があがる。
「止めるつっても、殺さずに止める魔法あるか?」
「ありませんね」
二人の魔法はどちらも必殺のもの、パワーアップ?したとは言え、団長に向ければ容易くその存在を消すだろう。
「かと言って。接近戦だとさすがに団長に勝てませんね」
「どうすんだよウルコ」
『今援軍を送ってる、もう少しだけ粘ってくれ』
「はいはいって「そこだぁ!」─ぐっ!」
「ブラックハートさん!?「意識を逸らすな!」─っきゃあっ!」
隙が出来た二人にグレート・ラガン・ダンチョーがタックルをぶちかます。
無駄に回転しながら着地したグレート・ラガン・ダンチョーは腕を組み、再び高らかに笑う。
「フハハハハ、どうした二人共。いつもの勢いが無いじゃないか!」
「チッ!なんか腹立つなあの団長...」
「団長!いつもの優しい団長に戻ってください!」
苦手な肉弾戦、必然的にお互いのカバーをするように戦い始める二人。
ラガンは二人に猛攻をしかけながら考える。
(すまん、二人共!だが、これはお前達に必要な事なんだ!)
〜〜〜〜〜
それは先日の事。
「こ、これだ!」
「どうした団長急に立ち上がって?ん?そうか。それはいい考えかもしれないな」
「ほとんど何も言ってないのに全部答えないでくれ。ウルコ」
カラカラと笑うウルコを無視し、ラガンが見つめるのはウルコが遊んでいるゲームの画面。
『チッ、なんでテメェなんかと...』
『うるせぇ目の前の敵に集中しろ!』
そこに映るのは熱き友情の物語。
いがみ合っていた二人が共通の敵を前に手を取り合うシーンだ。
(これならばあの二人も...)
〜〜〜〜〜
(共通の敵、すなわち暴走したフリをする俺を二人が止める。普段なら近接戦闘を嫌う二人だが、こういう状況ならば受け入れざるを得ない!)
尚、作戦立案はウルコである。
(さあ、二人で協力をして俺にかかってこい!)
「そろそろ決着か?それともなんだ。二人で来てもいいのだぞ?」
はやる気持ちで二人の協力を促す二人。
「チッ!こいつなんかと協力だと!?」
(おお!来た!ついに和解の時が来たのか!?)
「嫌です。と言いたいところですが、今の状況だとどうにもできません」
ホワイトルビーがブラックハートの方を向く。
ラガンはもう泣きそうになっている。フルアーマーでなければバレていただろう。
「ブラックハートさん、協りょ「二人で無理ならば!」─?」
「三人ならどうだ!」
「いや四人だ!」
「ましてや五人でもいようものなら!」
『我ら無敵!!』
(.....................えっ?)
背後に謎の爆発を響かせ現れたのは。仮面を付けた男女四人。
「情熱のグリーン!」
「熱戦のライトグリーン!」
「爆炎のライムグリーン!」
「みかんゼリー!」
『我ら!アメイジング・ナイン!』
「さぁ!黒と白の名を持つ我らが盟友よ!」
「今こそ奥義を放つ時!」
「えっ!?えっ!?」
「なんなんだテメェら!」
『アメイジ〜ング!!』
「訳分かんねぇ!全部ぶっ飛ばしてやる【
「とてつもない悪の匂い!消えなさい【
(なっ...)
『レインボーオオオオッ!!!』
「何から突っ込めばいいんだぁああああああああ!!!」
色とりどりの攻撃を受け、爆発し飛んで行くグレート・ラガン・ダンチョー。
諦めるなグレート・ラガン・ダンチョー!
負けるなグレート・ラガン・ダンチョー!
終
〜〜〜〜〜
その後、笑い過ぎて酸欠で倒れたウルコがハカセによって救助されたという。
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