No.35 神のレゾンデートル
空花凪紗
起
神が生命を創造して人間が生まれたのか、それとも人間が神を想像したのか、どちらが先かは私もわからない。ただひとつ言えることは、人間は神の子であると同時に神の親でもあるということだ。なぜなら人間がいなければ神は認知されることなどないからだ。もしかしたら神は自分の存在意義のために人間を生み出したのかもしれない。あるいは、人間が己の存在意義のために神を作り出したのか。
どちらにせよ神はいる。いや、正確には神はいた。この事実は後に語る。
人間原理という概念があるが、あれは正しくもあるし間違ってもいる。私達人間が知覚し理解できていることが全てではないし、正しいとも言えないからだ。私は長年脳理学者として脳と宇宙の繋がりを研究してきたが、認識している世界が全てであるという主張には懐疑的だ。私たちが暮らす世界は三次元空間と時間の計四次元時空間だが、偉大なる科学者達の真実への献身のお陰でこの世界は11次元であることが分かっている。私はこの事をこう捉えている。この世界は9+1+1で、さらに3×3+1+1だと。三次元空間が三つ。そしてそこに時間の一次元と、特異点としての一次元が加わる。交流電流の生みの親であるニコラ・テスラは三という数字に固執したそうだ。何をするでも三の倍数でないとダメだと言う。強迫症を患っていたという話だが、私も幼稚園か小学生の頃やけに四という数字に妄執していて、一度行動を始めればそれを4、8、12と言った四の倍数回繰り返すという行動をしていたので、もしかしたら私も同じ病だったのかもしれない。
『3、6、9という数字の素晴らしさを知れば、宇宙へのカギを手にすることができる』
これはニコラ・テスラの名言だ。私は3が神の言葉だと知っている。そのことは遠い昔ある人に教えてもらった。もしかしたら彼はニコラ・テスラの生まれ代わりなのかもしれない。ニコラ・テスラと言えば私は彼の残したこんな言葉も気に入っている。
『時間を超越したみたいに、過去と未来と現在が同時に見える神秘的な体験をした』
私は2021年1月8日に過去と未来と現在の全ての時間軸の全ての事象と繋がった経験をした。それはまるでタイムマシンに乗って時流を自由に行き来する体験だった。全ての魂が集うのを感じた。私はその時思った。魂はあると。そして私は神だと。いや、正確にはその表現は正しくない。全は主だと。全ての物が神足り得ると知った。人は全知全能になれると知った。全能は全知であることも知った。シェイクスピアの言葉にこんなものがある。
『知識は天に至る翼である』
私は天に至るために、その経験を通して知ったことを証明するべく今まで研究をしてきた。だがもう私には時間がない。なので私の体験をあるがままの形でこの本に記す。私の書く最初で最後の物語が一人でも多くの魂を望まぬ牢から解き放ち、天上楽園へと迎えられることを祈る。
2080年7月7日
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