第10話

 僕は、健成と帰り道を一緒に歩いていた。

「まさか、健成に彼女がいたなんてな〜」

「黙っていたのはすまん。でも、悪気わないんだ。だから許してくれ!」

「怒ってないよ。むしろ健成は、すげぇ良い奴だから、彼女いないのかなぁ?って思ってたぐらいだし!」

「え?ええ??えへへ」

「ちょっと寒気した」

「ごめんって〜!」

「冗談だよ!」

「なんだ〜!」

 そう言って僕達は笑いあった。

 ……笑えるっていいな。世界には戦争や、腹いっぱいご飯を食えなかったりして、笑顔になれない子供がたくさんいる。

 いつか、そんな子供達を救える大人になりたいな。と、心の底から思った。

「そうだ!」

「どうした?相馬」

「僕が夏秋さんに連れて行ってもらったケーキ屋さんのケーキ。健成にも食べて欲しいなって思ったんだよ!そこで空いてる時に一緒に行かないか?」

「もちろん行くよ!なんなら今から行ってもいいよ?」

「おぉ!まじか!行こう!!」

 そう言って僕達は美味しいケーキ屋さんに行くことにした。


「良かった空いてる」

 以前来た時には行列。とまではいかないが、結構混んでいたが、今日は平日だからか店に入ったら直ぐにテーブル席に行けた。

「前に来た時はやばかったんだよ!」

「人が多くて?」

「そう!30分ぐらい待ってたんだけどその時は夏秋さんと、お互いに喋らなくてめっちゃ気まづかった!」

「ははっ!相馬にも気まづいって感情があるんだな!」

「どういうこと!?」

 普通に気まづいと思うことはあるぞ?

「いや。前にゆめが俺に抱きついてきた時に相馬顔色一切変えてなかったから、気まづいって思ったりしないんだと思ってたんだよ」

 なるほど。すっっっっごく気まづかったぞ?本当にもうやめてくれよな?とまでは言えず、

「正直、内心すごく気まづかった」

「そうか〜。それは、本当にごめんな!」

「大丈夫だよ!健成は、僕にとって大事な友達だからな!」

「相馬……」

 健成は、自分の胸の前で合掌し、こちらを見つめてくる。

「な、なに?」

「いや〜嬉しいこと言ってくれるな。ってな」

「嬉しかったのなら良かった」

 うん。良かった、良かった。

「でも…」

 健成がいきなり深刻そうな顔をした。

「俺は相馬のこと親友って思ってるぞ?」

 !?

 そんな親友だなんて〜。初めて言われたから照れますなぁ。

「どうした相馬。めっちゃにやけてんぞ?」

「いやぁ。親友って言われたのが嬉しくてな」

「そうか!相馬は俺の大事な親友だぞっ!」

「僕も!健成は、僕の大事な親友だ!」

 そう言って僕達はグータッチをした。


「お待たせしました。ご注文のチョコレートケーキと、チーズケーキです」

「「ありがとうございます」」

「ごゆっくりどうぞ」

「うひょ〜!このチーズケーキの光沢。えげつねぇな」

「それな!やばいよそれ」

「相馬のチョコレートケーキもめっちゃ美味そうだな」

「いいだろ!」

 そう言って僕は、ドヤ顔をした。

「ドヤ顔すなっ!」

 一瞬でツッコまれてしまった。

「すまんて。よし食べるか」

「そうだな!」

 僕達は合掌した。

「「いただきます!」」

 健成は、いただきますを言った途端。フォークを握りチーズケーキを食べやすいぐらいに切って口に運んだ。

「はっ!うめぇ、なんだこれは、うめぇ」

「うめぇしか言ってねぇじゃねぇかよ!」

 けれど実際ここのケーキは"うめぇ"んだ。

「いや、俺はテレビのレポーターとかじゃないからうめぇだけでも何も問題ない!」

 すっげぇドヤ顔で言われた。

「た、確かに…?」


 僕も、健成を見ていたら早く食べたくなったのでチョコレートケーキを1口食べた。

 !?

 口の中に甘すぎず、ちょうどいいくらいの甘さのチョコレートの味が広がった。

「うめぇ」

 と、気がついた頃には言っていた。

 確かに"うめぇ"な。

「相馬も言ってるじゃん」

「そうだな」

 そう言って僕達は「ははは」と笑い合った。


「いやぁ美味かったなぁ」

「ほんとそれなぁ」

「今度ゆめとまた来よっと」

「リア充め…なんつってね!」

「え、怖い怖い。なんかごめんなさい」

 健成は、いつも反応が面白いのでつい煽りたくなってしまう。だめだ、だめだ。

「冗談だよ!」

「ほんとかぁ?」

 そう言って健成はジト目で見つめてくる。

「ぶふっ!ははっ!」

 何だか、分からないが自然と笑いが込み上げてきた。

「……相馬??」

「あぁ。ごめん、ごめん。なんか面白くなっちゃって」

 そう言うと健成の顔が優しくなった。

「まぁ。相馬がこっちに転校してきて楽しい人生を遅れてるようで良かったよ」

 健成は、僕に以前何があったかを知っているような口ぶりでそう言った。

 きっとこのことは知らないはず。

 健成は、優しくて良い奴だからもしかしたら察してたのかな?

 誰にも知られたくなかった過去。でも、健成の優しい顔を見てたらこいつにはバレてても何も思わないな。って思えてきた。

 ほんと、すげぇヤツだよ。健成は。


 僕は、夕飯の買い物があるのであと少し話をして、僕達は解散した。


 転向する前までは重かった足乗りが、夏の夕日に照らされて、少しは軽くなった気がした。


 僕は、心の中で健成に感謝を伝えた。照れくさかったけれど、それとなぜか心地よいと感じてしまった。




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 10話!!!

 早い!今まで(1ヶ月)頑張っても、たどり着けなかったけれどたどり着けた!

 これは、この作品を見てくださってる皆さんのおかげです!!(マジで!)

 これからも『転校したら、クラスのヒロインに甘やかされているのだが!?』をよろしくお願いします。


 そして、新作。『大好きだった彼女に浮気されて、人生転落した話。』を今朝あげました。

 まだ見てないよ〜。って方は良かったら見てください!難しい人との関わり愛をテーマに書きました!1週間に1話ペースで頑張ります!


 くまたにでした!

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