転校したら、クラスのヒロインに甘やかされているのだが!?
くまたに
第1話
「今日から、この学校に来ました。
「よろしくっ!」
「趣味同じや〜」
「連絡先教えて〜」
「よろしく〜」
温けぇ。何だこのクラス、転校して良かった〜。
「連絡先は休み時間に!」
「やったぁ!」
本当に嬉しそうに喜んでいる男子生徒がいた。
「じゃあ席は1番後ろの窓側から2番目。空いてるからそこで」
「わかりました」
教えられた席に座ると、隣の席から話しかけられた。
「私の名前は、
そう言って夏秋さんは、ニコリと笑った。この人には笑顔がとても似合うな。あっ!いけないいけない。自己紹介してくれたんだから何か返さないと。
「僕は、さっき言った通りだけど河上 相馬です。よろしく」
「分からないことがあったら私に聞いてね?」
「わかった。ありがとう」
そこで話は途切れた。こんなに女神様みたいな人ってこの世界にいたのか〜。僕も、少しでも夏秋さんみたいに優しい人になろうっと。
「授業始めるぞ〜」
教科担任の人がクラス委員長に挨拶をしろという圧をかけた。
授業は、この学校に転校してくる前に少し多めに勉強しておいたので理解出来た。
「河上くん。転校してきて一回目の授業ですけど問題ありませんでしたか?」
「分かりやすかったから今の所大丈夫だった」
「そうですか。それはいいことですね」
そう言って夏秋さんは微笑んだ。
「夏秋さん!この問題分からないのですけど教えてくれませんか?」
「いいですよ」
気がつけば夏秋さんの周りを女子達が囲んでいた。その少し離れた所で男子たちがチラチラ夏秋さんのことを見ていた。どうやら、夏秋さんは、男女共に人気があるらしい。
そりゃそうだろう。夏秋さんは、初対面の僕にも、太陽のように眩しい人だから。
そういえば。さっきのいい人。
「あの。さっき、連絡先とか言ってなかった?」
「覚えててくれたんだね?ありがとう。少し待って!」
そう言って男子生徒はスマホを取り出した。
スマホを重ねて連絡先を交換した。
「俺の名前は、
「ありがとう。遠慮なく困った時は頼るわ」
「ナイスー」
そう言って健成は親指を立てた。
え?この学校いい人多すぎない?
そんなことを考えながら授業を聞いていたら、気がつけば昼になっていた。
今日は、初めてこの高校に来た日。朝はそれなりにバタバタしていた。
だから、弁当を作る暇も買う暇もなかった。
ということは学食に行くか。前にいた高校(1か月間だけ)は、少し小さくて学食がなかった。だから、僕は結構学食というものが楽しみではあった。けれど、1人では行きにくいな。
そんなことを考えていたのに気がついたのか、健成は、僕のところに来て、
「今日弁当か?」
「違うけど」
「そうか!なら一緒に学食行かないか?」
そう聞いてくれた。え?行きます行きます。絶対行きます。
「行きます」
「え?敬語?そんな〜敬語なんて照れるなぁ」
「健成って面白いね」
「え?面白いこと言ったかな〜?」
そう言って考え込んでしまった。もしかしたら天然なのかもしれない。けれどそんな所も健成のいい所だ。
「とりあえず行こっか?」
そう言って学食まで案内してくれた。正直全然学校の地形が分からず、迷いそうだったのですごく助かった。困った時は頼ってくれと言ってくれたよな?だから、本当に遠慮なく健成を頼ろう。
「広っ、」
つい口から本音がこぼれた。
「そりゃそうだ!この高校、中学校とエスカレーター式で学食は、中学校との真ん中にあって繋がっているんだよ」
そうだったのか。この高校は外から見てもほかの建物よりも凄く大きい。その理由は、中高一貫だったかららしい。
「何が1番オススメ?」
「俺のオススメは〜!きつねうどんかな?安い上に、鰹出汁がとてもきいててとても美味しいんだ。しかも!頼んでから出てくるのがとてもはやい!」
「そうなのか。僕はそれにする」
「相馬が食べるなら俺もそうしよう」
そんなやり取りをして、僕達はきつねうどんを選んだ。
頼んですぐに、きつねうどんがでてきた。健成は、頼んだらすぐに出てくると言っていたけれど想像よりもとてもはやくきつねうどんが出てきてびっくりした。
「はっや」
「だろ〜?俺も初めて来た時はびっくりしたよ」
そんなやり取りをしながら、空いている席に僕達は向かい合って座った。
「「いただきます!」」
僕は、箸でおっきな、あげを掴みあげた。
すごく光っていて美味しそう。
1口食べてみた。
!?
噛んだ途端、中から鰹出汁の効いたいい香りの出汁が出てきた。おいしい。困った時は健成に聞けば本当にどうにかなりそう。
「お〜お気に召したようで何よりだ」
そう言って健成は、ニコッと笑った。
「え?」
「違った?相馬はとても美味しそうにこのきつねうどんを食べてたから」
「顔に出てたか。恥ずかしい」
「ハハハ」
そう笑って健成も、美味しそうにきつねうどんを食べ始めた。
「「ごちそうさまでした」」
「こんなに美味しいなんて、ここって学食だよな?」
「間違いなく学食だね。俺はここの学食に1度来たら、弁当なんて持って来れなくなってしまったよ」
「健成は一人暮らしか?」
「ん?そうだよ。相馬は?」
「俺もだ」
「そうか。だから通じ合うものがあったのかな?」
「そうかもな」
「午後の授業も頑張りますか〜!」
健成はそう言って机の方に行った。
楽しかったなぁ。そんなことを思いながら自分の席に着いた。
「ー馬くん」
ん?呼ばれた気が?
「相馬くん」
本当に呼ばれてた!
「な、なに!?」
呼ばれた方に振り向くとそこには夏秋さんが笑顔で僕に話しかけていた。
「この学校広いでしょ?だから迷わなかったかな?って思いまして」
優しい。健成がいなかったら正直、僕は迷っていただろう。
「今日は、何とか大丈夫だったよ」
「そうですか。ならいいのですけど」
夏秋さんが、少しだけムスッとしたような顔をしたように思ったのは僕の気のせいだろうか?
「そういえば」
「ん?どうしたの?」
「相馬くんは、今一人暮らしをしていますよね?」
「そうだけど。よく分かったね。どうして分かったの?」
夏秋さんは、僕が一人暮らしをしてるなんて健成以外の誰にも言ってないのにどうして分かったんだろう?
「それは、秘密です」
そう言って夏秋さんはわざとらしく舌を出して。笑った。
え?本当に気になるんだけど?というか本当に教えてくれないと怖いから。
その答えが分かるまで割と時間はかからなかったのだった。
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1話です!「面白い」と思って貰えたら光栄です!
良かったらいいねと、レビューお願いします!
2日に1回というペースで上げるつもりですが、一応受験生なので、時々お休みするかもしれません。その場合は、ごめんなさい。
ここまで読んでくれてありがとうございます!!
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