絵描きの令嬢
トマトも柄
第1話 絵描きの令嬢
物静かな部屋に一人の女性が絵を描いている。
ただ静かに筆の音を奏でており、絵を確認しながら色の調整をしている。
そこにドアのノック音が鳴り響く。
「どうぞ」
女性が一声あげると、失礼しますと言いながら黒服の男がドアから入ってくる。
「どうなさったの?」
女性が聞くと、男が静かに答える。
「休憩をお取りになってるかのご確認に来ました」
「あら? 私はちゃんと休憩を取りながら絵を描いているよ。 何をそんなに心配してるの?」
「先日に裏稼業の方に出たばかりではないですか。 その後にすぐに表の絵描き作業に入られてお疲れになってないか心配になりまして」
「そこまで心配なさらなくてもちゃんと取ってますー」
女性はまるで子供のように答えながら、絵描き作業を続けていく。
そこで黒服の胸ポケットから電子音が鳴り響く。
男は胸ポケットから携帯電話を取り出して確認する。
「お嬢様。 どうやら一時間前の休憩を取り損ねているそうですね」
その言葉に女性は反応を示し、男を見る。
「ナ、ナンノコトカナー?」
「とぼけなくてもこちらはお嬢様の安全を最優先して監視しているという事を忘れてはなりません。
この部屋にも監視カメラを付けて我々が確認しているのですよ」
「乙女の部屋を監視するなんてサイテー!」
「いや……お嬢様が監視用で自分でこの部屋に付けてたじゃないですか」
男の言葉に女性が照れながら目を逸らす。
「何故そこまでするのです? お嬢様にとってかなりの負担になっていると思うのですが」
男の問いに女性はふふんと鼻で笑う。
「これではまだ疲れたに入らないわよ。 それにあなた達の楽しみを奪う訳にはいかないでしょ?」
女性の言葉に男は首を傾げる。
「何の事でしょうか?」
「知ってるよ。 このためにわざわざ監視カメラの前で集まってみんなで見てるの」
男はその言葉に体をビクっと震わせる。
「そしてこれを見るために早出で出てるって言うのも知ってるよ」
その言葉に監視カメラが心なしか動揺したかのように動いたように見える。
「ちゃんとみんなの事も見てるからそこは安心して頂戴。 私はトップの令嬢よ。 皆の事はちゃんと監視してるからね」
女性は笑顔で答える。
「やれやれ……お嬢様には敵いませんよ」
「私に敵うなんてまだ早いわよ? なんせこの絵描き終わったら体を鍛えて来るから」
「その体力は我々も見習わないといけませんね」
「私は体力続くならとことんやるわよ。 表の絵描きの依頼も裏稼業も体を鍛えるのも常に全力で挑むからね!」
彼女は常に努力の道を走っていた。
それに応えるように黒服の男達も見守る。
彼女は令嬢でもあり、努力を怠らず常に全力で挑んていた。
絵描きの令嬢 トマトも柄 @lazily
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます